徒然なるままに

狸塚ぼたん

一章

脳内暗殺日常茶飯事

 1


 人生において、誰にでもモテ期とやらは三度訪れるという。

 それ、絶対嘘だから。

 あたしは内心、ケッとか思いながら女性誌を棚にしまった。


 埃のような独特の臭い。

 所狭しと詰め込まれた本棚。

 貸出カウンターにできた利用者の列。

 馳け廻るガk……子ども。


 休日の図書館は大抵こんな感じだった。

 あたしは返却本を棚に詰め込む。

 今日の夕飯はどうしようか。

 お弁当のおかずになるものがいいな。


「どけデブ!邪魔なんだよ!」


 気がつけば、真後ろに男が立ってた。


 あー、またこいつ。

 まだ生きてんだ。

 あと何回脳内でこいつを消し去れば現実になるんだろう。


「大変失礼致しました」


 自分で言ってて、なにが失礼だったのかわかんない。

 ただあたしはここに存在してて、こうして利用者のために配架をしていただけなのにデブ呼ばわり。

 デブは生きてちゃいかんのか。


 いや、生きてちゃいけないのはお前だ。


 そう思いながら、頭の中でひたすら男の首を絞めつけてた。


 十七時を知らせる鐘が鳴る。

 早くお家に帰ろ。

 夕飯はなにがいいかな。

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