些末に耐えがたいよ



 コーヒーと煙草を数えて生きている

 ついでにコーラも数えておく

 ゼロじゃないことが唯一の正しさで

 日々は巡る


 けばけばしいミディアムバラードで

 耳を塞ぐこともできやしないよ

 文句をどれだけたれたって

 陽は沈んじゃうしまた昇るよ

 何もかっこいいことなんてありゃしない

 冬が息をする寒さは些末さまつに耐えがたいよ


 煙草の煙は泡沫のようにふらつき、わずか一点から生まれたそれは、確実に呼気を濁していく

 駄々をこねる心持ちを持て余すがゆえに、軋みはパズルの一片にされて、素知らぬていでキーはタイプされる

 コーヒーが足りないんだと抗弁したとて、バベルの頂点を望み、滄溟うなばらまでを見下ろし、なお呻吟さまようというならば、足がかりのひとつもないことを言い訳などできない


 冬が息をする寒さが些末に耐えがたい

 朝暉ちょうき落暉らっきは睦まじくするばかりで昂りを見せない


 コーヒーが欠品して

 煙草だけを数えて靉靆もやもやとしている

 どこにも行きたくないならコーラも数えられない

 相も変わらずゼロではない

 正しいままに時が過ぎる


 寒々しいエモーショナル

 耳を塞がずに呼気を濁す

 カウントは巡り続けるから

 揺曳ただよう煙だけバベルの頂点に行くことが明白でも

 今ここで半ばの愛を告げるよ

 冬が息をする寒さは些末に耐えがたい

 きみにとっても今日はゼロじゃない




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