全てに生き 全てに死す人へ

全てを統べる君よ

口惜しいまでの誉め言葉も

君の御前では無意味になり

どんなに深い悲しみも

残酷な笑みへと変わるだろう

大きな瞳に涙をたたえたとしても

世がそれを否定して

君はまた涙のない泣き顔を見せるのだろう

君は生きることに疲れても

きっと眠りを妨げる

以前私がそうしたように

君はきっとそうするだろう

以前私がそうしたように


強き心は偽善の証

潤う喉は紅の血を飲み干し

嘆きの叫びは天に消え

肉は飛び散り獣のえさに

君の口が裂け

光は君を捕う


死ぬのは恐いですか?

殺されるのはどんなですか?

切り裂かれるのは痛いですか?

愛しい人と離されるのは悲しいですか?

世と別離されるのは嬉しいですか?

ひしめきあった次の日は眠りたいと思いますか?

彼の下であえぐ自分は恥ずかしいですか?

太陽に笑われた自分に絶望を感じて

今 ここに居る


全てを統べる君が狂ったならば

君に統べられる全ても狂うだろうか?



              ~全てに生き 全てに死す人へ~

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