風に跳んだ帽子

風に跳んだ帽子

高い波にさらわれた。

波にのまれることを悟れず

漂うことしかできなかった。

誰かが気づいて手を差し延べる

だけど何の意味もない。


風に跳んだ帽子は

波も知らなければ

人の手にだって気づきやしないんだから。



他の誰かが石を投げつける。

水面で惑う帽子はかっこうのまと。

だけど逃げる必要はない。


風に跳んだ帽子は

石に当たる前に大きな波に包まれるのだから。



風に跳んだ帽子。

水を通して空を見た。

いつもより遠くて

でも、いつもより近くて

太陽の合図が少しだけ気持ちよかった。

でも

帰る場所はどんどん遠くへ離れていった。

離れていってとどかなくなった。

風に跳んだ帽子

ただ高い波にさらわれていったのだ。




              ~風に跳んだ帽子~


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます