風に跳んだ帽子
風に跳んだ帽子
高い波にさらわれた。
波にのまれることを悟れず
漂うことしかできなかった。
誰かが気づいて手を差し延べる
だけど何の意味もない。
風に跳んだ帽子は
波も知らなければ
人の手にだって気づきやしないんだから。
他の誰かが石を投げつける。
水面で惑う帽子はかっこうのまと。
だけど逃げる必要はない。
風に跳んだ帽子は
石に当たる前に大きな波に包まれるのだから。
風に跳んだ帽子。
水を通して空を見た。
いつもより遠くて
でも、いつもより近くて
太陽の合図が少しだけ気持ちよかった。
でも
帰る場所はどんどん遠くへ離れていった。
離れていってとどかなくなった。
風に跳んだ帽子
ただ高い波にさらわれていったのだ。
~風に跳んだ帽子~
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます