第18話 ユガム
いつからか、夢を諦めた―――かかえきれない夢を持ったものの、叶えたいのはどれだかわからなくなった。そしていつしか、コンビニのバイトに成り下がっていった。
いつか、人生は幸せになれるものだと信じていた。けれど、実際はこんなものだ。そう自分に言い聞かせ、ここまで歩んできた―――
明日はX'mas。世間のリア充どもはイチャつく。俺は三十で。ある程度の話相手はいるものの、友人はほぼ皆無だ。
まあいいや、そう思い近くのコンビニに入る。いつしか、自分のバイト先と同じチェーン店のコンビニにしか入らなくなっていた。
「うー寒……」
一人言を呟き、イージーリスニングのBGMを聞き流しながら弁当売り場に向かう。300円ののり弁を適当に選び、レジに向かう。
「温めはどうしますか?」
レジのキレイなお姉さんが聞いてくる。
「はい」、と返しながら俺はあんたに暖めて貰いたいわ、とか思いながら弁当を受け取る。
「ありがとうございましたー」背中に声を受けながら店を出る。
「あー、マジかー……」
空を見上げると、遥か彼方からは白い粒が降ってきていた。
「彼女もいないのにホワイトクリスマス……ってか、積もらないといいけどなー」
基本的に徒歩と自転車の俺にとって、アイスバーンとなれば死活問題だ。チャリで滑って転んで死んだりしたらシャレにならん。ガキんころは雪だゆきだと、騒いで嬉しかったものだが。今は大して嬉しいものでもない。
しんしんと降る雪の街を歩く。それだけで違う世界のようで。違う街並みを静かに歩いている
なぜか
もうずっと体感してるような、夢か幻か、本当に現実なんだろうか?
誰かの夢なのか、俺の夢の中なんだろうか
何度も何度も時間ループしているとしても、その中で人は気づくことは出来ない、というのをどこかで読んだな、なんて思い出した。
しかしそんなわけあるはずもないか。
頭痛もする。目眩。動悸。けれど寒くて、底冷えするようなツメタサ
気づけば雪も強く降って吹雪いている。。。
あれ、こんなに強かったっけ?そう思うまもなく、辺りは次第に白く覆われていって、近くの家々も雪化粧をしてゆく。銀世界に覆われてゆく
まるでドラマか小説の別世界のようで。
(あぁやばい死にそう…………)
独りの青年が、白銀の世界で静かに倒れていた
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