第14話 歪
いつからか、夢を諦めた―――かかえきれない夢を持ったはいいけれど、叶えたいのはどれだかわからなくなった。そしていつしか、コンビニのバイトに成り下がっていった。
いつか、人生は幸せになれるものだと信じていた。けれど、実際はこんなものだ。そう自分に言い聞かせ、ここまで歩んできた―――
明日はX'mas。世間のリア充どもはイチャつく。俺は三十で。ある程度の話相手はいるものの、友人はほぼ皆無だ。
まあいいや、そう思い近くのコンビニに入る。いつしか、自分のバイト先と同じチェーン店のコンビニにしか入らなくなっていた。
「うー寒ぃ……」
一人言を呟き、イージーリスニングのBGMを聞き流しながら弁当売り場に向かう。300円ののり弁を適当に選び、レジに向かう。
「温めはどうしますか?」
レジのキレイなお姉さんが聞いてくる。
「はい」、と返しながら俺はあんたに暖めて貰いたいわ、とか思いながら弁当を受け取る。
「ありがとうございましたー」背中に声を受けながら店を出る。
「あー、マジかー……」
空を見上げると、遥か彼方からは白い粒が降ってきていた。
「彼女もいないのにホワイトクリスマス……ってか、積もらないといいけどなー」
基本的に徒歩と自転車の俺にとって、アイスバーンとなれば死活問題だ。チャリで滑って転んで死んだりしたらシャレにならん。ガキんころは雪だゆきだと、騒いで嬉しかったものだが。今は大して嬉しいものでもない。
しんしんと降る雪の街を歩く。それだけで違う世界のようだ。街並みが違って見える。
ふと、
なんというのだろう、脳障害かなんかか、というくらいの目眩?物悲しいような、どうしようもない感情。
胸が、体が内面からほころんでゆく。
現実と解離してゆく。なにもかもが夢のようだ。胡蝶の夢?微睡みと意識がついえるような、きもちいいようなキモチ悪いような。。
永遠に経験してるような、、夢か幻か。本当に現実なのか、ここは?なんだろうこの感覚、魂から落ち着かない感覚は?本当に気のせいなのか?
内外の一切の事象が無限回に収縮していってるかのような、虚無にもにたような感覚
なんべんも時間をループしていても、その中で人は気づくことは出来ない、というのをどこかで読んだな、なんて思い出した。それよりも、そんな人間離れした感覚なんて、わかりっこない。
まさかなあ……という思いと、もしかして、という不安が交錯する。
頭痛がする。目眩。動悸。けれど寒くて、底冷えするような冷たさで。イタイ。ツメタイ
気づけば雪も強く降って吹雪いている。。。
あれ、こんなに強かったっけ?
辺りは次第に白く覆われていって、近くの家々も雪化粧をしてゆく。銀世界に覆われてゆく
まるでドラマか小説の別世界のようで。
やばい、ガチでくっそ寒い……なんだよこれ……
体の芯まで冷やされていく感覚により、俺はそこで意識を喪った
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