第3話 いびつ



いつからだろう。夢を諦めたのは?かかえきれない夢を持って、叶えたいのはどれだかわからなくなって。いつしか、コンビニのバイトに成り下がっていた。

いつの日にか、人生は幸せになれると思っていた。けれど、実際はこんなものだ。そう自分に言い聞かせ、ここまで歩んできた。


明日はクリスマス。世間のリア充はいちゃつく。俺は三十で。ある程度の話し相手はいるものの、友人はほぼ皆無。

まあいいや、そう思い近くのコンビニに入る。いつしか、自分のバイト先と同じチェーン店のコンビニにしか入らなくなっていた。

「うー寒ぃ……」

一人言を呟き、イージーリスニングのBGMを流し聞きしながら弁当売り場に向かう。300円くらいののり弁を適当に選び、レジに向かう。

「温めはどうしますか?」

レジのキレイなお姉さんが聞いてくる。

「はい」、と返しながら俺はあんたに暖めて貰いたいわ、とか思いながら弁当を受け取る。

「ありがとうございましたー」背中に声を受けながら店を出る。

「うっそ、マジかよ……」

空を見上げると、遥か虚空からは白い粒が降ってきていた。

「彼女もいないのにホワイトクリスマス……ってか、積もらないといいけどなー」

基本的に徒歩と自転車の俺にとって、雪が積もって凍るとなれば死活問題だ。チャリで滑って転んで死んだりしたらシャレにならん。

しんしんと降る雪の街を歩く

防寒対策として帽子もネックウォーマーも手袋もしてるのに寒い。当たり前だ、雪なのだから。気温も2℃くらいだろうか?

なぜだかすごく寒くなってきた。気づくと雪も強く降ってきている。

あれ、こんなに強かったっけ?

辺りは次第に白く覆われていって、近くの家々も雪化粧をしている。

やばい、素で寒い……

体の奥まで冷やされていく感覚を感じて、俺はそこで意識を途絶えた




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