第95話 メリークリスマス。

 A子は思わず絶叫。


「心配するな、モンハンのUMDもメモステのデータも無事だ」

「ここの家ってPSPが壊れる呪いでもあるんですかっ!?」

「知るかっ」


 ご主人様は苦笑いした。


「無茶した罰と思え」

「うえええ」

「はいはい泣くな泣くな」


 そう言ってご主人様はリボンの掛けられた箱を取り出した。


「なんスか?」

「クリスマスプレゼントだ。晩飯食ってから3人に渡そうと思ったが、とりあえずお前さんには先に渡す」

「はーい」

「泣いたカラスがもう笑ったか。現金な」

「貰えるモノは貰うのが私の流儀です」


 資産家の娘とは思えないセコさにご主人様は苦笑いする。

 A子はためらいもなく箱を開けた。


「……なんスかコレ」


 A子は箱の中身を観て固まった。


「嬉しいだろ」

「イヤ、この流れだと新しいPSPとかじゃないんですかっ! どう見てもこれ懐かしのリンクスじゃないですか!」

「レアだぞ、しかも未開封」

「どこから見つけてきたアンタッ!」

「馴染みの喫茶店のマスターが物持ちが良くてねぇ」

「物持ちが良いってレベルじゃねぇぇ! イヤ確かにレアすぎてヤフオクで出品したら好事家か食いつきそうですけどね!」


 A子にしては珍しくツッコミが激しい。


「ていうかリンクスなら持ってますよあたしもっ!」

「そういやそうだったな!」


 ご主人様は笑いながら、新しい箱を差し出した。


「冗談だ、ほれ新しいPSP」

「あ…」


 A子の目が輝いた。


「ナニコレ、ハンターズモデルじゃないですかっ!」

「クリスマスプレゼント用に買っておいたんだがな。……俺用に」

「自分用かいっ」

「まぁちょうど良いと思って。どうだ」

「わーい、さんたさんありがとー」

「棒読みで礼を言うな」

「冗談です」


 A子は身体を起こして頭を下げた。


「……てか、家事サボっていたのに済みません」

「いつも世話になってるからな、気にすんな」

「あのぅ」


 そんな時、部屋の外で様子を窺っていたらしいB子とC子が呼びかけた。


「おう、A子ならもう大丈夫そうだぞ」

「それはよかった」


 C子がほっと胸をなで下ろす。


「起きるまでご馳走お預けだったしねー」

「お前は食い気しかないのかいっ」


 ご主人様は呆れ気味にいう。


「だって旨そうだし」

「ぼくもおなかがが」

「ハイハイ」


 A子はベッドの上から起き上がった。


「大丈夫か?」


 ご主人様はまだふらつくA子の手を取った。


「ちょっとお腹が」


 ご主人様は思わず笑った。


「それじゃあ、みんな」


 Merry Christmas ミ☆

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