第54話 由来

(お嬢様に手を出していない事は了解した。若いんだし、あれだけ激しかったのだから色々我慢していたのだろう?)

「そんなんじゃ無ぇぇ」


 ご主人様は小声で愚痴る。


(無理するな。……わ、私ならいつでも相手してやるぞ)

「断る。……獣姦は流石にもう」

「何ご主人様?」

「気にするな……ところで、黒猫なのになんでベニなんだ?」


 ご主人様が不思議そうに訊くと、A子はきょとんとした顔をする。


「ベニで何故色だと」

「いや、普通そうだろ」

「何をバカな事を言うのですかご主人様!」


 A子はご主人様を睨み付けた。


「ベニと言ったらベニーユキーデでしょうが!」

「そっちかいぃぃ!」

「私がこのベニを初めて見た時、その高い敏捷性にピンと来ました。ああ、この子はまさしくベニー・"ザ・ジェット"・ユキーデの生まれ変わりだと!」

(彼はまだ死んでませんけどね)


 ベニは苦笑いしながらテレパシーで突っ込んだ。


「つーか何でその名前を知ってるのかと」

「そんなの一般常識でしょ!」

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