第27話 夏の終わり

「え」

「……ご主人様、今の」

「あ、ああ」


西日が差す中、二人はもう一度部屋の外へ耳を澄ました。


「蝉、ですね」

「まだ鳴くのか」

「私が最後に聞いたのはもう一週間も前です」

「今頃になってうっかり出てきちゃったのかな」


その消え入るような鳴き声はしばし二人の耳を障るも、日が沈む前に止んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る