第29話 怪盗切り裂き紳士‼?

戦田ヶ原家の朝はナナシの起床から始まる、彼女はきまった時間に正確に起きる。それはもう癖の域だ。朝5時のことである

それから5時すぎにバカが仕掛けた目覚まし時計が鳴る、ナナシの朝食作りの手伝いをするためだ。

6時を回るとエビフライさんがやってくる、そして一緒に朝食を並べ始める。そしてそれが終わったと同時にチュウが目を覚まし現れるのだ。

「いただきます」「「「いただきまーす」」」

 今日の朝飯は米とみそ汁+焼き魚、サザエさんで見るような一般的な朝食それにくわえてフルーツ一式が置いてあいた

「このフルーツってなんだっけ、というか傷んできてるし」

「忘れたんですか?このあいだSMさんのところ学校で誤認逮捕されたお詫びだって送ってくれたんですよ」

「あああったなそんなこと、痛みかけなの送ってきたってことは残飯処理されやんじゃないか」

「そんなこと言うもんじゃないですよ」

「でもなぁ~」

 その会話の隣でエビフライさんはいつもどおりエビフライをポケットコンロで揚げていた

「エビフライさんは飯いらないか?」

「米とみそ汁だけもらう」

「あそう、というか毎日来るくらいならもうここに住みはじめたらどうだ」

「住んだら金とるだろ」

「とるよ」 即答

「だから嫌なんだ」

 そしてバカはいうとなるべく厄介ごとに巻き込まれないように無言で飯を口に運ぶ、目も合わせないように新聞で顔を隠している。

しかしある記事が気になり読み上げてしまうそれは

「切り裂き魔現る、この辺じゃん。犯人は紳士服すがたにシルクハットをつけているか愉快犯か?」

 そのセリフにチュウが反応しない訳がなかった

「紳士だ…」

「は?」

「紳士、ジェントルメンだよ!ついにきたんだ!こうしちゃおられない行くぞバカ!!」

 立ち上がるとバカの手を引き外に出ていこうとする

「ちょっと朝飯は‼?」

「あとでかそのうち!!」

「なんですかそれ」 

 そういうまもなくチュウ&バカは出て行ってしまった」

「朝から騒がしい奴だ。あっナナシ殿エビフライいるか?」

「全くですね、ハイいただきます」

 二つの会話を一つでこなす二人


「で、どこに行くんだ。その切り裂き魔を探しに行く気か?」

「無論だ、あと切り裂き魔じゃくてジェントルメンな」

「はいはい、で目星は?」

「ここだ」

 そう言ってバカを連れてきたのはよく見かけるカフェ

外観はコメダ珈琲のようなログハウス型であるが窓には全面カーテンのような黒い布があり外から中が見れないようになっていた

「よし入るぞ」

「怪しい…店の名前は”蒔得途琉麺珈琲”か。怪しさに2倍」

 そう言いながら手動のドアを押すと喫茶店でよくいく鈴の音がチンころリンとここちよくなる

「いらっしゃいませ」

 そこは不思議な空間で窓際と真ん中にでかい丸型のテーブルとイスがあり、階段も見受けられるので二階もあるようだ。

「会員証をお持ちですか?」

「えとその」

「私が持っている」

 そういうと服の懐から一枚の黒いカードを取り出した

「これはブラック会員様!しつれいいたしました」

 その言葉を聞き店内がざわつく

「なんだそれすごいのか?」

「まぁな」

「さすがでございます」 

「なにが」

 店員がいきなりほめたのですかさずツッコミをいれる

「この方はこの会員証がすごいのにも関わらず、自慢もせず”まあな”の一言で済ませたのです。さすがブラック会員さま、判子を押されていただきます」

「判子ってのは」

「ここでは紳士な行動をとると会員証にスタンプが押されるんだ、それが一定数溜まるとランクがノーマル→イエロー→ホワイト→ブルー→

レッド→紳士見習い→中級→上級→一人前→老紳士→ゴールド→ブラック

そして最上位ジェントルメンになるんだ」

「よくわからん」

「お客様はブラックですので席がお選びいただけますが」

「いや適当に座るよ」

「恐れ入ります」

「選べるってのはあれかカードの特典か?」

「ああ、ブラックカード特典の一つで席が選べるに加え選んだ席に人がいてもどいてもらえるんだ」

 また微妙な特典と心ツッコミ

「でもお前がそんな上級な男には見えないというかインチキの一つや二つでもしたんじゃないかと疑わざるを得ないな。オークションとかで買ったんじゃないのか」

「違います」

「おお!いつもな”ちげーよバカ!!”とか大声で叫ぶのに」

「人には表と裏の顔があるものなのさ、女と同じでな」

「お前は女のなにを知っているんだ…」

 そういいながら窓際一番端の席に座る

「おそらくここなら奴の情報を得られるだろう」

「そうかもな聞いてまわるか」

 どこぞのRPGのように情報収集を始める

「すみません」

「はいなんでしょ」

 その男 ガウンにワイングラスを片手で持っていた

(これは紳士なのか)

「実はですね、例の切り裂き魔を探していましてね」

「ほう、しかし私はなにもそれより見てほしいのですよ」

 そういって指を指したのはワインではなくテーブルに置かれた珈琲

「私、地球にやさしいんです。だからゴミが出ないように砂糖やミルクを使わずブラックで飲んでいるんです」

「そうなんですか」

 あきれ顔でそういった

「それでは」

「ええ」

 すこしテーブルを離れて話す

「なんだったんだいまの」

「最近多い知ったかぶり紳士もしくは紳士気取りだ」

「ワインかコーヒーかどっちかにしろって感じですね」

 そういいながら次の人に話かけるかそれも自分の紳士タンばかり

「ロード中、イライラせずに待ってます」

「暴言を吐かれても優雅に言い返します」

「おままごとで遊び、女の子の気持ちを理解しています」

「いままで手をぽきぽきと音を鳴らしたことはありません」

「毎日浮気せず、一つのチャンネルだけみてます」

「子供の頃の夢をまだ捨てずファミコン名人を目指しています」

 とまぁこんな感じで

「こんな紳士ばっかりか、チュウがブラックなのもわかる気がする」

「よし次は上級エリア二階だ」

 そういうとチュウは二階へ向かった、チュウ曰くそこは上級以上のものしか入れないらしい。

              しかし

「私の作品がアニメになるまで12年待っています」

「ガリガリ君の例の味に文句も言わず食べます」

「声優の声が変わってもアニメ見続けます」

 なんというか

「聞こえたかぎり情報ないし、レベルも下の階の人と大差ない気が」

「しかし困った、収穫0か」 

 すると店員がやってきた

「誰かお探しですか?」

「ええまぁ」

「もしかして地下一階じゃないですか?」

「地下?地下なんてあったのか」

「はい、最近できあがりました」

「よし行ってみるか、ランクはどれくらい必要か」

「一番下でも大丈夫です」

「そうかよかったなバカ」

 こうして地下へのパスポートを手に入れた二人果たして情報を持つ者はそこにいるのだろうか



「というか本人らしき人がいるけど」

 そこには紳士服+マント+シルクハットと新聞の情報に似た男が座っていた

「よし話かけよう」

「気を付けろ」

 チュウは距離を縮め、話かけた

「あんた紳士か?」

「いかにも」

 その顔には笑顔マスクがつけられていた

「お前、例の切り裂き魔か?」

「だったら」

 間違いない疑いがすべてなくなり確証となった

(チュウ、一体どうする気なんだ)

 その答えはすぐにでた


「サインください」

「ほぅ」

「は?」

「自分あなたのようなシルクハットの似合う男を目指していて、でもなかなか似合わなくてそれで…それで…」

 すると切り裂き魔がチュウの肩に手を置く

「焦るな、君はいつかなれる。絶対にな」

「・・・・・・・はいっ!!!!!」

「では私はこれにて用事があるから」

「はい!でもサインは」

「そこのナプキンにすでにしておいた」

「ありがとうございます!!」

 おうして紳士は去っていった

「ここにいるどの紳士より紳士だったな」

「ああ、通報したえど」  


 その後ぶじ切り裂き魔は逮捕された

「というかなぜ店の奴らはあいつに気がつかない」

 それはこの世界の不思議ということで、いや紳士協定の一つ”紳士は他人に干渉しない”ということで閉めさせてもらおう




「なっとくいかねー」

                       納得いかなくても続く











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