“ 群れ” 未来の物語

泡沫恋歌

◆ プロローグ ◆

― 西暦20XX年 ―


一度、人類は地球上から、ほぼ絶滅しました。


ある国の独裁者が放った無数の核ミサイルが引き金となり、地球上でおこなわれた核のドッチボールは、一夜にして……。

約98%の人類を地球上から消滅させてしまった。


壮絶な核戦争の果て、わずかに生き残った人類たちは、放射能汚染が比較的軽度な南極の地に逃げのびて……。

人類再生への夢をかけて、新しい生活形態で暮らし始めていた。

長く苦しい地下シェルター時代に、個人の所有欲から仲間同士で争いが絶えず、新たな悲劇を生んだことへの教訓として、考え出された理想社会であった。


哺乳類本来の “ れ” という社会意識。


個人愛から仲間愛、家族愛から “ 群れ ” に対する忠誠心。

そして、それは恋愛や結婚、家族への全否定だった。


『個人では何も所有しない』――それが未来世界の掟なのだ。

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