三、子供を産む羊へ──「重さ」との葛藤
正式版移行の直前のテスト版で、羊が子供を産むようになりました。羊は、二頭の羊に小麦を与えると一頭の子羊を産みます。これによって多くの羊を飼育することが容易になり、サバイバル環境で羊毛を大量に使った建築、そしてドット絵を作ることが可能になりました。その後一つの草ブロックで羊毛を復活(ただし一〜三個ドロップに変更)させるようになり、羊の大量飼育に向いた環境が整えられます。
しかしここで違う壁が羊たちを襲います。それは「ラグ」でした。
動物やモンスターはそれぞれ AIを保有しており、大量に発生するとその分だけ処理が必要となります。シングルプレイではともかく、複数人が接続するマルチプレイで、これは問題になりました。プレーヤー側にとっては表示に時間がかかり、サーバ側にとってはその処理が負担となり、全体としてブロック設置なども「重い」世界になってしまいます。そして羊は羊毛を取るために飼育するので、ハサミを使って刈り取れば羊の総量は変わりません。増えることはあっても減ることのない羊は、マルチサーバにとっては厄介なものになっていきます。私が参加しているサーバでは現に、羊の大量飼育が禁止されています。羊にとってやさしくなったように見えて、羊にとっての自由は制限されていったといえるかもしれません。
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