28話「ロリのために囮作戦を考えたが、俺はロリコンではない終~最強の鎧攻略戦~」
補足説明・ネタバレ伏線ver
http://suliruku.blogspot.jp/2017/02/28.html
レッドゴブリンの生還を祝福した俺は、すぐさま態度を反転させた。白真珠みたいな可愛い娘だったらお土産を渡して返すのだろうが、醜い小男じみた外見の魔物に渡してやるもんはない。
「よし、さっさと家に帰れ、糞で雑魚なゴブリン。部隊が全滅した事を伝えるために1匹だけ生かしておいてやる。腹が空いているならゴールドアップルの1個くらいは分けてやるぞ?」
「ゲヘヘヘヘヘっ!勝利を確信して油断するのは三流のやる事だぜぇ?家畜ごときが俺様相手に油断して良いと思っているんだぜぇ?」
「ほら、さっさと帰れ帰れ。ゴールドアップルなしでいいか?」
「この赤く輝く無敵の鎧にどうやって勝利するつもりなんだぜぇー!これはありとあらゆる魔法を防ぎ、物理攻撃すら無効にする伝説の鎧なんだぜぇー!苦しみの魔族様がくれた最強無敵の鎧なんだぜぇー!」
レッドゴブリンは調子に乗っていた。確かに赤い鎧の防御力は凄そうだ。先ほどの攻撃を受けてダメージなしである。白真珠も子供みたいに目を輝かせて『最強の鎧』というロマンに浸りそうになっていた。
「そ、そんなに凄い鎧なんですか!?これはひょっとして魔族陣営の大幹部だったりします!?そういうオチだったら激戦展開になりそうですね!」
「こんな雑魚を幹部とか……米軍と冒険者の皆が泣くぞ……まぁ、でも――色々と試して見る価値はありそうだな。ひょっとしたら人類を救ってくれる可能性に満ちた鎧かもしれないし」
少し知的好奇心を刺激された俺は呪文が要らない無詠唱魔法を発動させる。
「誘導弾(イヴァル)」
白い魔力弾を生成。誘導能力より速度を重視する仕様に変更してある。前方で高笑いをしているレッドゴブリンへとぶつけた。少しだけ酔っ払いのように体が揺れたが、大したダメージにはなっていないようだ。
「……そ、そよ風みたいな一撃だぜぇ!お前の実力はその程度なのぜぇ?そろそろ俺のターンだぜぇ?」
「じゃ、僕のターンです!魔氷剣の真髄を見せてあげますよ!瞬時にいろんな武器を作れるんです!」
「小さいメスの家畜が生意気なのぜ――」
舐めきった口調のレッドゴブリンの頭を――氷のハンマーが勢いよく殴りつけた。空を飛ぶ。小さな体が草原の上でバウンドして跳ねまくる。草しか生えていない水不足の土地だから、クッション代わりにはならない。
とっても硬い地面を跳ねまくり、レッドゴブリンは悲鳴を上げた。苦しそうだ。まるで酒を飲みすぎた酔っ払いのように見える……爆弾テロで肉体が吹き飛んだロリコン成金さんは今頃どうしているのだろうか。
「頭がグルグルずるうぅぅぅぅ!怪力すぎるんだぜぇぇぇ!」
「本当だ!鎧が凹んでない!お師様凄いです!この鎧は無敵かもしれませんっ!」
「……げ、げへへへへ、家畜が調子に乗るのも、こ、ここまでなのぜ?お、俺に手を出したら、100万人いる部下が報復にでて、死ぬ事だけを望む地獄の拷問生活が待っていたりするんだぜぇ……」
レッドゴブリンは立ち上がり、自分の優位を信じたいからか、俺たちを威嚇してくる。
だが、俺は思うのだ……無敵の鎧なんてもんがあったら、とっくの昔に有名になって、米軍辺りが大騒ぎしていると思うぞ……。
「いや、その鎧……衝撃まで殺してないようだから、普通に物理攻撃で中身が潰れるぞ……衝撃が殺されないようにお前を仰向けに倒して、その上から鈍器で殴れば、一撃で内蔵が破裂して死ぬと思うんだが……」
「お、脅しても無駄なんだぜ……?」
「それ以前にさ……鎧の関節部分は強化できないから、普通に銃弾が貫通するだろ?構造的にそこを強化したら動けない鉄板と化すし……」
「そ、そ、そ、そんな、ことはないんぜ……」
「それなりに重いようだから……水を魔法で作りまくって、そこにお前を放り投げたら溺死するだろ?水より重い物体は浮かないんだぞ?」
「こ、この鎧には……せ、潜水機能がついているに……違いないだぜ……たぶん」
「鎧の装甲が魔法を通さなくても、一度電気エネルギーに変換すれば、問答無用で鎧の内部を焼き尽くすだろ?試していいか?んっ?」
「……」
「その鎧……どこが『最強』なんだ?戦車の装甲に使うならともかく、ゴブリンに使っても意味ないだろ?
それに魔法を全て防げるってのは誇張だな。魂だけを攻撃するタイプの魔法は防げないと思う訳だが?お前らの上司すら、直撃したらダメージを負う攻撃を防げるのか?」
「あああっー!だずげでぇぇぇぇ!すいませんっー!調子に乗ってましたぁー!」
だぜ口調をやめて、レッドゴブリンは土下座して命乞いをしてきた。
俺は最初から、こいつを生かすつもりでいるのだ。今の気分はアフガニスタンに侵攻してきた大英帝国軍を殲滅したイスラム戦士さん。部隊が全滅した事を知らせるために逃がしてやるというセリフは嘘だが……説得力があるだろう?
19世紀のイギリス人にトラウマを埋め込んだ名セリフをアレンジして、再現してやろう。聞いただけで心が冷める怖い声でな。
「……お前の命だけは助けてやる。ほら鎧を脱いで寄越せ。部隊が全滅した事をたっぷりゴブリンどもに知らせるんだ。狼に怯える家畜のようにな」
「はいぃー!そうさせていただきますー!人間様ぁー!」
……このゴブリン、アジトに無事に帰っても、部隊丸ごと失った罰を取らされて処刑……されるのではないだろか?凄い赤い鎧を着ている時点で、ゴブリンの中では偉い方なのだろう。
仮に一兵卒だとしても『敵前逃亡』の容疑をかけられて、処刑されそうだ。何やっても死しか待ってないな。いや苦しみの魔族の『食事』として拷問されるのかもしれない。感情エネルギーは人間の方が豊富で凄いらしいが、一応、魔物もそれなりに感情エネルギーを出すはずだ。
「お師様、お師様」
「どうした白真珠?」
「言葉だけで魔物を降伏させるなんて……中々やりますね!尊敬しちゃいました!」
銀髪の可愛いロリ娘に褒められた。そんな些細な事がとっても嬉しく感じるんだ。
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(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚)ほとんど口攻めで勝利した件
(´・ω・`)コミュ力こそ本当の力って事じゃな?
(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚)(ツッコミ力の間違いのような……?)
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