26話「ロリのために囮作戦を考えたが、俺はロリコンではない③~ドナルドの命令~」
ネタバレ伏線ver
http://suliruku.blogspot.jp/2017/01/26.html
バグダインが犯人だと仮定しよう。謀略を駆使して生きてきた悪狸が金バッジやプラチナバッジ冒険者がいる護衛部隊に、レッドゴブリン程度の雑魚モンスターで挑むだろうか?
車両のおかげで機動力があるとはいえ、これで対処できるのはせいぜい金バッジまで。プラチナバッジ冒険者を相手するには物足りない戦力だ。そう考えれば分かるぞ。
これはきっと――陽動だ。護衛部隊の戦力を割かせて、その隙に本隊や伏兵が本命(ブラド)を叩くという作戦に違いない。つまり、後ろから迫るゴブリンは捨て駒だ。
「あの、お師様、魔物が車両に乗っているのって……普通ですか?」
「全然、普通じゃないぞ。故障知らずの凄い車はあるにはあるが……燃料の補給が最大の問題点になるはずだ。ああいう代物は安定して燃料を供給できる体制がなければ、日常的に運用できないだろう?まぁ、操作は簡単だから燃料さえあれば全ての問題は解決するだろうがな」
「じゃなんでゴブリンが車に乗っているんです?」
「……バグダイン辺りが、燃料をゴブリンどもにプレゼントしたってのが、一番当たって居そうな推理だ。まさかだと思うが……魔族が支配する世界での家畜牧場のオーナーの地位でも奴は目指しているのかもしれない。胸糞悪くてゲロを吐きそうだ」
「つまり、バグダインは成敗しても良い大悪党って事ですね!僕の正義の心が熱くなってきました!悪を倒せばきっと平和な世界が訪れる気がします!」
白真珠の胸が大きいのは、正義の心で膨らんでいるせいなのだろうか?
……車両は、このダンジョン世界では貴重品ではない。魔族が量産した魔物が溢れるまで、人々は都市の周りに壁を築かず、経済性を重視してあっちこっちに家屋を作って田畑を広げて自由に生活していたのだ。
つまり、膨大な数の中古車があっちこっちに転がっている上に、少しでも故障したら車を放棄する連中がいるし、とっても入手しやすいのだ。
……と言いたいが、魔法を使えば最新仕様で複雑なハイテク自動車はぶっ壊れる。むしろ、20世紀の原始的な自動車の方が魔力の影響を受け辛い。
レッドゴブリンどもが乗っている車両は、そういう事情を考慮して、あえて生産した古いタイプの車なのだ……そんな高級レトロカーが、中古品としてゴロゴロ転がっているはずもなく、やはりバグダインが魔物たちに提供したと考えるべきだろう。
「……証拠を掴めば、一気にバグダインを逮捕できるかもしれないな……」
「はい?何か名案でも思い浮かんだんですか?お師様?」
「いいか?あのレッドゴブリンどもは明らかに裏で、人間勢力と繋がっている訳だろ?」
「はい、そうですね。僕でも分かりますよ!」
「あいつらの車やアジトに、その証拠となる物品が転がっていたら……黒幕は逮捕されて、一気に事件は解決すると思わないか?幾らなんでも機能停止しまくりの国連でも、魔族と繋がっている存在を許さないだろう?」
「さすがです!お師様!……国連ってなんでしたっけ?」
「ほら国際連合だ。第三次世界大戦が起きないように、大国を優遇しすぎて機能不全起こしている事で有名な組織だ」
「よくわかりませんが、さすがお師様です!さぁ!悪党を倒しに行きましょう!」
「まだ待て、俺が考え中だ……この策に問題点があるとするなら……どう見ても、レッドゴブリンどもは100匹以上いる事だな。一気に倒さないとこっちの身が危ないし、車両の大半は壊さざる負えない。とりあえず、テレビ局の人らにこの光景を撮影させて、放映して貰えれば……バグダインの支持率は今以上にガタ落ちになって、警察も多少は動くはずだろう……」
いや、賄賂で上層部が動かないだろうから、やはり悪徳都市の役人は役立たずかもしれない……。超大国に圧力をかけてもらえば、失業や逮捕を恐れて頑張ってくれるかもしれないが。
「じゃ電話しますね!……僕の携帯、とっくの昔に壊れてました。そういえば電話番号知りません」
「……魔力の影響でハイテク機械がぶっ壊れるから冒険者が使う携帯は値段が高いぞ。とりあえず俺の携帯で連絡を取ろう。俺の携帯は魔力で絶対に壊れない事で有名な超高級品だから、この程度の魔力で壊れないはずだ」
「あ、運転しながら電話だ?交通マナー違反です!たぶん!交通ルールは守らないと犯罪者ですよ!」
「へいへい……」
煩いロリ娘の小言を受け流し、俺は携帯端末のアドレス帳から、ドナルド先輩の電話番号を探し、電話をかけた。都市の外では通信インフラが壊滅状態だから、この状況だと、かなり電力を消費する。
プルル、プルルという苛つく音がした後に、ドナルド先輩は電話に出てくれた。
「もしもし、こちらはドナルドだよ。背後からたくさんの魔物が接近しているようだね~」
「あ、先輩。テレビ局の人らに、この後ろの光景を撮影してもらえるように言ってもらえませんか?」
「僕達が言わなくても、すでに彼らは撮影しているさ。それにどの車両にも車載カメラが付いているからね。それが証拠品になるだろう?でも、仮に…この光景を映像として残しても『ブラドの自作自演だ』ってバグダインが叫ぶだけだしね。もっと明確な証拠がないと駄目だなぁ」
「じゃ、どうすればいいので?」
「そうだね……ゴブリン達を返り討ちにして、数匹をわざと逃がし、アジトまで追跡すればいいんじゃないかな?魔族側の指示で動いているなら、書類とかが残っているはずだよ。
大きな組織は書類がないと動かないからね。伝言ゲームだと情報の正確性とやらが喪失するしさ」
「じゃ1人か2人くらい応援を出してもらえますか?マスコミの護衛に使いたいんですが……」
「いやいやいやいや……トモヤ君一人で十分だろう?僕が出した応援の中にバグダインのスパイが居たらどうするんだい?事務所での爆破騒ぎの犯人が紛れ込んでいる可能性があるんだよ?
もしも犯人がマスコミを殺害なんかしたら、ネットは大炎上して、事態が今より悪化するだけさ」
「……なるほどよく分かりました」
「よろしく頼むよ……ああ、そうだ。もしも証拠品を見つけたらネットにアップロードした方が良いだろうね。バグダインの腐敗した人脈がどこまで浸透しているのか分からないんだし。
装飾都市の米軍に証拠品を預けても、政治家が取引して台無しにしたり、証拠隠滅する可能性だってあるんだからさ」
「分かりました先輩。俺達だけで……レッドゴブリン達を料理しますよ」
「悪いね、トモヤ君。僕は君の事をとっても頼りにしているよ。この事件が無事に解決した暁には……そうだな。僕の新魔法を見せてあげようか?新しい魔法は大好きだろう?」
「それは良いですね先輩。俺のやる気が湧いてきましたよ」
「健闘を祈るよ、トモヤ君……新しい魔法を見せるのが楽しみだ……」
そう言って、ドナルド先輩は電話を切った。破格の報酬すぎてワクワク感が止まらない。
新しい魔法とか言ってるから、きっと公表せずに秘匿しているような凄い必殺技なのだろう。他人に知られていない魔法を開発して持っていれば、相手を混乱させられるし便利なのだ……人間同士で争う事を前提にした考え方だから、かなり虚しくなってきた……。
「……白真珠、戦いを始まる前に言っておくが……ゴブリンをいきなり全滅させたら駄目だからな?ブラドさんを守るために、バグダインとゴブリン達との繋がっている証拠を見つけ出さないと、これから先も何度も何度も襲撃されて鬱陶しい事になるだろうし。;プラチナバッジ冒険者が来たら……これはもう面倒臭くて、余裕で圧勝なんて展開には出来ないし、こんな腐った事件は早々に解決しなきゃいけないんだ」
「任せてください!」そう言って白真珠が大きな胸をポヨンッと叩いた。
「お、おう……?」
「僕の魔氷剣があれば……ロリに金棒です!この胸一杯に希望の光を宿して戦いますよ!」
tまり、なんだ、正義の心を持つ女の子は巨乳になるらしい。
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(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚) ドナルドさんが怪しい気がしてきました
(´・ω・`)
(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚)(せ、先生がストレスの貯め過ぎで死んでる……)
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