第47話「エピローグ」その2

「成瀬課長代理、次に予定される警備の計画案ですが」

 愛知県警察本部・警備課室。今回の指揮を執った成瀬 浩警備課長代理は結局昇進も降格もしないままこれまで通りの地位に留まった。勿論その功績は警察庁から引き抜きが検討されたほど大きかったが、上層部の命令を無視した部分もあったからである(無断で指揮本部を移転したのはある意味上層部の命令だったが)。

「解った。──金城、ここなんだが予定がタイト過ぎないか?」

「しかし先方からの要請で、どちらも時間を動かせないと」

「なら事前に検索を徹底しておく必要があるな。警護の方に担当SPを増やす検討をするよう要請」

「しかし他の警護もあるので」

「警視庁や大阪府警から人員を借りてもいい。特に総理担当は警視庁SPの方が無難だ」

「提案してみます」

 現在成瀬が取り組んでいるのは、愛知県体育館で行われる予定の追悼式典に関わる警備。総理をはじめとする政府要人が集まるため名古屋駅西口(太閤通口)や沿道・体育館内などの警備と大規模なものになっている。しかも対策の最前線となった現場の現状視察も併せて行うということで、さらに拍車を掛けていた。

「名古屋全域を封鎖出来れば、手っ取り早いんだけどな」

「そんなこと出来るのは、災害時だけですよ」

「それもそうだな。──よし、三浦、内野、二人ともこちらに来い」

「ええ」

「解りー、ましたー」

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