白昼夢
橘札己
ひどく愉しそうに男は笑う
首を圧迫される生々しい感覚で目が覚めた。
目を開いたら白いシーツが目に飛び込んできた。
必死で首に食い込んだ何かを引き剥がそうと爪をたてる。
掴んだモノは布の様な物だったと思う。
私の手を邪魔に思ったのか、私の手を外そうと後ろから人の片手が伸びてきた。私は無我夢中でそれに爪をたてた。
逞しい手はそれでもびくともしない。
いつの間にか、布の絞めは緩み、代わりに男の両手で絞められていた。
視界がぼやけてきた。
それでも、男の両手に爪をたてる
その手を噛んだ様な気もする
とにかく、必死だった。
「クックッ」
男の笑い声がした。
首が圧迫感から解放される
流れ込んできた大量の空気にむせてしまう。
視線を感じて振り返る。
ひどく楽しそうに私を見ている男と目が合った。
真っ黒な髪を頭の形に沿って切りそろえた一見好青年に見える男が黒い瞳で愉しそうにこちらを見ている。
ふと、
「そんな目で見るな。俺がお前を殺すはずないだろう?」
言いながら、優しい手付きで頭を撫でられる
そのまま大切なモノでも抱くかの様に後ろから抱きしめられ、シーツに沈みこむ
視線を巡らせるとここが大きな白い部屋だということがわかる
白い壁紙
白い飾り棚
白い照明器具
高窓から明るい日差しが差している。
白い薄手のカーテンが揺れる。
見知らぬ部屋。
ふと、身体をまさぐっていた動きが止まる
「なぁ、シようぜ。」
いつの間にか、私の上に覆いかぶさっている男を見上げる。
視線が絡む。
「ゴム着けてくれるなら」
私の応えに男はひどく愉しそうに笑う。
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