400字詰め原稿用紙1枚の話

雨乃時雨

パルフェ

「俺は何を食べればいい?」

 パルフェに話しかけると、その画面上にオムライスと一言、表示される。俺はそれを見てオムライスを、目の前に座る彼は何も見ずにカレーを注文する。それを聞いたロボットは一礼して、奥の方へ戻っていった。

「そういやお前、進路決めた?」

 僕の問いに目の前の彼は首を横に振る。

「お前もパルフェ、使ったらいいのに。全部決めてくれるから悩まなくてもいいしな」

「……俺は絶対使いたくねぇわ」

 苦笑交じりの返事にそうかと返しつつ、内心では首を傾げる。進路も、今日帰宅してからすることも、食事も、全部最善のものを決めてくれる最新の機械。パルフェに従えば、人生が上手くいくとさえ言われているのに。

 どうしてこいつは自分で考えたがるんだ?

 その答えはちっとも分からなかった。

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