チラシの裏のネタ帳

川本純志

神様

「俺が世界最強の剣士だ!!」


 そう叫ぶ少年の手に握られたのは、ただ一振りの神を殺す剣。

 数日前、この世界に移転させられ、世界を救う事を課せられ、それを許した女神に与えられた最高の武器。

 中二の彼には、その隠された才能を発揮するには最高の舞台。

 思春期特有の病気が悪化するには、最高の世界。


 もちろん、彼だけではない。

 同じような人間もこの世界に転移させられた。

 人間やりなおせるもんなら、もちろん楽したいし自分最強したい。

 そんな人間のいう事を聞く神様が居るならこうもなろう。


 「ぎゃあああああああああああああ」


 切り捨てられたのは世界の神。

 転生者が世界を救ったとして、その後どうなるか考えたことがあるだろうか。

 俺最強が沢山いたらどうなる。

 そりゃ俺ツエェが沢山いたら、俺ツエェできないでしょ。殺るしかないでしょ。

 世界は転生者の殴り合いに巻き込まれる。

 一振りで山が吹き飛び、指を鳴らせば隕石が降ってきて、終末をもたらすドラゴンが出てきたり、ワシが育てた最強の幼女連れてたり。

 これじゃあ世界がいくつあっても足りませんよね。


 自分でやった事なのにブチ切れる神様。

 でも、与えた剣は神様も殺すんですよ。もちろん殺されますよ。


 性善説ってのは、もっぱらろくでもないって話ですよ?

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