第52話 カミに悩まされる俺

 家に戻ると色々忙しくなった。

 ぼっち生活をしていると忙しいのは当然だが、目標が出来たのだ。


 まず、食料の増産。

 あの村もかなり貧しい感じがした。裕福ではけっしてないだろう。

 人を懐柔するなら胃袋からだな。


 街道で死んでた奴らから貰った(パクった? )小麦を撒いていたので成長を見る。まだ少し収穫には時間がかかるようだ。村でも小麦は貰ってきたし、種は余っているのでもっと畑を拡張するべきであろう。


 村で交換してきた南瓜、蕪、麻の実、瓜。これ等も植えてみる。しかし、麻って栽培していいのかね。元の世界では色々と規制があったと思うが……。まあ、ぼっちだし問題無いとしておこう。

 麻の実自体食べられるし、上手くいけば繊維も取れるだろう。もともと雑草だから収穫も早そうだし。

 放置気味だった、大豆、燕麦、じゃが芋、アブラナもかなりの収穫があり、一人では食べきれないほどだ。


 塩や砂糖も順調だ。留守の時には火を使わないので最終段階は経れないが、段取りだけはしてある。

 塩泉は布を吊るした下に鍋に汲み溜め、毛細管現象で布に吸わせて蒸発を促す。最後は布に付着した塩分も一度塩泉に洗い戻し煮立てる。少しは薪の節約になる。

 砂糖は団扇ヤシの実を集めておく。一定量になったら果汁を絞り出し、塩と同じく煮立てる。


 鹿もこれまで以上に狩っておきたい。

 塩が手に入ったので鹿ジャーキーやベーコンも作っておきたい。



 それと、人形。色々考えるとかなり大量に必要になってくる。

 今迄働かせていた人形もガタがきていて大幅な更新が必要になってくる。 ……初期型で愛着はあるがしようがないだろう。


 手始めに人形を作るための人形を作ることにした。

 俺の祝福の傀儡師パペットマスターの定義として頭がないと動かないらしい。ドナドナを作るときに実験してみたが、そういうことのようだ。よく分からないが。

 なので、頭を削りだし、手足の材料となる棒を作り、胴体にするための丸太を整形させる。

 これ等の人形を1体1体作っていく。


 人形を作るための人形を作っているのだが、その前の便利な人形も作った。 ……人形人形言いすぎてゲシュタルト崩壊しそうなのは気のせいだ。

 その便利な人形とは鋸人形。腕をクランク状にして高速で回転するように命令プログラミングする。クランクの先には鋸を挟むようにして、腕が回転すると鋸が前後に動くようになっている。電鋸のようなものである。

 同じように穴を開ける人形も作った。錐を持って高速回転させる人形だ。


 各パーツを作っても組み立てるのは俺一人だけである。それを組み立てて目的付をするのも俺一人。作業工程のボトルネックはいつでも俺になるんだけどな。


 食料をあまり気にせずに作れるようになったのでかなりハイペースに作れるようになった。

 畑仕事関係に15体。樵関係に20体。採掘関係に20体。採取関係で6体。

 旧型と違って高性能でしかも高度な命令プログラミングもできるようになった。


 こうなると紙もなくなってくるのでそれ用の人形も作らなければならない。

 紙も自作である。 


 ……紙にも髪にも神にも悩まされる俺。


 安逸に暮らせるようになるには一体どうすれば……。

 

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