幻一夜

 空をゆっくり泳ぐイトマキエイ

 僕はそいつの背にのって旅をするのさ


 逃げていく時計の音

 秒針の鼓動がどうしても耳にまとわりつくから

 ああ 頭痛の種が今にも芽吹きそう

 どうしていつまで経っても許してくれないの


 大きな虹の橋をどんどん遡ったら

 大きな大きなクジラの背中に辿り着く

 大空を気まぐれに散歩しているよ


 お日様が隠れてしまったので

 あちこちで誰かが空を黒く塗りつぶしてる

 去年まで僕もこんなバイトをしていたよ


 時計台の時計が晩御飯の時間を告げている

 悪いニュースはこの時間にはタブーです

 動物たちのご機嫌な笑顔が一番さ


 見上げればいつの間にか流れ星の海

 星魚たちいつも元気にはしゃいでる

 白く白く照らされた砂浜に

 誰一人いないその整えられたステージに


 絵画のような景色

 何一つない静かな静かな風景

 いつもこんな夢を見ていられたらいいのに

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