NEXT第18話 迫るゴッドウエポン、それは進化し続ける魔物

「それで俺にそのゴッドウエポンを倒して欲しいと?」

『うん、私の世界からそっちの次元に干渉してしまって生み出された文字通り化け物なんだけど君ならもしかしたらどうにかできるかもしれないと思ってね』


冥と名乗ったそれがゴンザレス太郎に頼んだのはゴンザレス太郎の居る世界に存在する怪物ゴッドウエポンを退治して欲しいと言う事であった。

このゴッドウエポンこそが今現在もゴンザレス太郎達の方へ向かっている怪物であった。


『本来はその世界に存在する筈のない異常な兵器なんだ。そして、このままだと君の世界はそいつに滅ぼされてしまう』


ゴンザレス太郎の頭の中にその怪物が向かって来ている映像が浮かんだ。

それを見てゴンザレス太郎は冷や汗を流すのであった。


「こいつが・・・ゴッドウエポン・・・」


その怪物は海を泳ぐ鯨の様な巨大な体をしていた。

優雅に泳いでいる様に最初は見えたのだが良く見るととんでもない事実に気が付いた。


「喰われて・・る?」

『そう、そいつはありとあらゆる生き物やエネルギーを吸収する性質を持っている本来なら最果ての島で永遠に流れ着くゴミを食べて生き続ける筈だったんだけど君の出したエネルギーを感じて食欲に動かされているんだね』


それはゴンザレス太郎が悪魔大元帥アモンを消滅させた灼熱のレーザーのエネルギーを得たくて真っ直ぐに向かっているのだ。

そしてその胴体が海に居るありとあらゆる生物を取り込んでいた。

魚やクラゲがその体に接触するとそのまま体内へ取り込まれゴッドウエポンは徐々に体を進化させている・・・

体に鱗が出現しヒレが生まれ徐々に、本当に徐々にだが海の生物と言う形に変化をしながら加速をしていた。

ありとあらゆる生物とエネルギーを吸収し進化を続けるゴッドウエポン。


『それじゃ頼んだよ』


その言葉を告げられ別に了承したわけではないのだがゴンザレス太郎は体へと戻った。






時刻は既に日が暮れて夜になっていた。

ゴンザレス太郎は眠り続けており3人は交代で看病をしていたのだ。

先程フーカからサラに交代しベットの横に椅子を置いてそこに座りサラはゴンザレス太郎の手を握る。


「タツヤ・・・早く・・・帰って来て・・・私・・・タツヤが居ないと・・・」

「えっと・・・サラ?」

「へっ?あっ・・・」


手を握りながら普段は見せないサラの弱い面を見たゴンザレス太郎は嬉しそうに微笑みサラは顔を真っ赤にして握っていた手を離す。

だがゴンザレス太郎はその手を追いかけるように握り微笑みながらお礼を言う・・・


「ありがとう、心配掛けてごめん」

「う・・・うん・・・と、とりあえず2人に知らせてくるね!」


先程の事が恥ずかしいのだろう、サラは耳まで髪と同じように真っ赤にして部屋を飛び出し二人を叩き起こしに行くのであった。







時を同じくして港町では翌日の昼頃到着する予定の怪物を退治するための準備が着々と進められていた。

相手は海の中に居る為に水中ではなくギリギリまで浅瀬にひきつけて一気に叩く作戦が予定されていた。


「後何本用意できる?」

「明日の朝までに後20本はいけると思います!」


そこに運ばれているのは大木を切って断面を尖らせた物。

それを見ながらSランク冒険者『制空のアルベド』はもう一人のSランク冒険者『影使いガイア』と最終打ち合わせを行なっていた。


「ガイアが影縛りで怪物が浅瀬に上がったところで動きを封じて俺がこの大木の槍を空から次々と落として怪物を串刺しにする!後は動けなくなった怪物を遠距離から全員で集中攻撃して一気に畳み掛けて倒す!」


こういう大型の魔物と戦う時は作戦は大雑把の方が良い事をアルベドは知っている。

本番と言うのは本当に予期せぬ出来事が起こるものなのだ。

なのでその場その場で臨機応変に行動する事が大切なのだ。


「まぁデカイだけでそれ程強力な魔物じゃないんだろ?」

「そう聞いてる、ランクは大きく見積もってもAの魔物だというからこれで余裕だろう」


アルベドとガイアは知らなかった。

今この時もゴッドウエポンは海の生物を取り込み進化を続けている事を・・・

勿論その中には魚だけでなく生みに住む大型の魔物だったり空を飛んでいて獲物と勘違いして逆に食われた空飛ぶ魔物もいたりする。

その為、今現在でSSランクまでゴッドウエポンは進化していた。

Sランクで災害級、SSランクで厄災級と言われるようにSランクだと町が滅ぶレベル、SSランクに至っては国が滅ぶレベルと認識されているのだが2人は最初にゴッドウエポンの観測を行なった者の最初の報告しか聞いていなかった為知らなかった。

既にゴッドウエポンは港町の近くまで来ており後3時間・・・日付が変わった頃には到達する事をまだ誰も知らない・・・

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