after第49話 囚われの女達

とある部屋の中央に置かれた椅子に鎖で繋がれた二人の女が居た。

その銀髪の少女と茶髪の少女にはボロ切れとしか思えない大事な部分を最低限隠すだけの衣類しか身に纏わせず逃げることも出来なくされていた。

そして、そこに入ってくる目を瞑ったままの法衣を着た金髪の男…

その男を見て銀髪の少女が怒りを露にする。


「どう言うこと?!手は出さないって約束でしょ?!」


笑顔のまま男は銀髪の少女に繋がれた鎖を掴んで引き寄せ頭を踏みつける。


「私だってやりたくてやった訳じゃなくてね、ただデウス様の指示だから仕方無くやったんだよ」


頭を踏みつけられ靴の裏を後頭部に擦り付けられる銀髪の少女ミリーは涙を流しながら抵抗できない事実に悔しがる。


「しかし、君は本当に凄いな。私のコード『従順度MAX』が間違いなく効いてる筈なのに私に歯向かうなんて」

「はっ、あんたなんかタツヤに比べたらゴミよ!」


その言葉に目元をピクッとさせた金髪の男『スペニ』は頭に乗せていた足を一度上げ再度踏みつけた。

ミリーの顔面が地面にめり込む。


「全く、どうして君はこんなに私に歯向かう?ダマのように私の愛玩奴隷として受け入れれば楽になれるのに」


足を退けられゆっくり顔を上げるミリーはニヤケて語る。


「あんたなんかとは比べ物にならないくらいいい男を知ってるからさ、一度贅沢を覚えた女は安物じゃ満足出来ないのさ」


その言葉を放ったミリーをスペニは蹴り飛ばす。

鎖が彼女がそれ以上動かないようにピンと張り首輪に繋がれているため苦しそうに悶えるミリー。

本来なら神の力を取り戻したミリーは痛覚を遮断できるのだがスペニの従順度MAXによる指示のせいで遮断をさせていないのだ。


「全く、何故私ではなくあいつなのだ?」


スペニはダマの魂の入った茶髪の少女鎖を引っ張り椅子に座る自分の元へ引き寄せる。


「舐めろ」


そう言って意思のないダマの前に足を差し出す。

それに何の疑問も抱かず口を開いて舌を出して近付くダマを蹴り飛ばす。

地面を転がり鎖が張って体が無理矢理止められる。

暫く咳き込み動けるようになったダマは再びスペニに近寄りしゃがみこんで舌を出す。


「止めろ!」


ダマはそのままの姿勢で口を閉じ無表情のまま座る。

意思のないダマは従順度MAXの効果により指示をされればその通りに行動する、そこに彼女の意思はない、例え手足を引きちぎられても指示された事を行おうとするだろう。


「くそっ!くそっ!くそっ!気に入らない!」


スペニにとって他人はスキルを使って思い通りに操れるもの、しかしゴンザレス太郎達を見て初めて愛を求めた。

だが彼にとって愛とは無償で与えられるものと言う発想が無かったため彼は愛を理解できなかった。


「デウス様…私には貴女しか居ないのです。」


そう、スペニにミリーとダマを預けたのはデウスであった。

神の力を取り戻したミリーはダマを連れてこの世界の外、神の世界へ戻ろうとした時にデウスの仕掛けた罠により捕まってしまい、こうしてスペニの玩具として与えられたのだ。


「この世界を創造した三大神の中でも貴女だけが私にとって唯一無二の神です」


椅子に座ったまま瞳を開くことなくスペニは祈るように呟く。

その気持ちは信仰なのか愛なのか彼には分からないが特別であることには変わり無かった。

そんなスペニを見もしないダマと気持ち悪いモノでも見るような視線を送るミリー…


スペニの近くに世界の三大神が揃ってることをゴンザレス太郎達はまだ知らない。

そして、その部屋の隣には結界で手を出されないように自らを守り続けているフーカとスウが居た。


「フーカお姉ちゃん…」

「大丈夫、タツヤがもうすぐ来てくれるから」

「うん!」


彼女等は今張ってる結界を解いた瞬間従順度MAXの効果が発動するのを聞かされ動けないで居た。

そして、この頃既にゴンザレス太郎達はもうテンジクの町が見えるところまで来ていたのだった。

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