after第42話 ゴンザレス太郎の方が一枚上手であった。
ニウムの左手がサラの右頬に触れる。
それを嫌そうにしていたサラだったが触れられた途端にその手首を掴む!
「なっ?!何故藁人形に戻らない?!」
「つっかまえたぁ~」
サラの口がまるで三日月のように広がる。
そして、サラから出た言葉にニウムは驚愕する・・・
「アンタの欠点を教えてあげるわ、あなた自身にも藁人形のコピーなのか本物なのか判別出来ないって事よ!いつ私が偽者のサラだと言った?」
「ば・・・ばかな・・・ぐっ!」
サラは右手でニウムの左手首を掴み左手で用意していたナイフがニウムのその二の腕に刺さっていた。
『どくがのナイフ』である。
このナイフは一定確率で相手を麻痺させる追加効果がある。
そして直ぐにナイフを離し腰の袋から『キメイラの翼』を取り出し使用する。
ニウムの驚くその顔を見ながらサラは共に空高く舞い上がり盗賊6人に襲われた砂浜に辿り着いた。
そこには既にゴンザレス太郎とフーカが待機しておりその傍らに小さい少女が居た。
「お、お前らは?!」
ニウムの体が麻痺しだし声は出せるが動けない状態なのを確認して二人は親指を立ててサムズアップする。
実はこれ、再会した時に本人を確認する為に買い物で分かれる直前に再会した直後にこれをやらないと偽者と言う取り決めを行っていたのだ。
「さーて、それじゃあ楽しい楽しい尋問タイムといきますか。とりあえずこの場は俺のコードでスキル使えなくしているから逃げようとしても無駄だからな」
ゴンザレス太郎が少し切れ気味にそう告げる。
ニウムは一体何がどうなってここに二人が揃っているのか分からず、その横に居る少女の事もわけが分からなくなっていた。
「何故?一体?どうして・・・だ、だが馬鹿なやつらだ!俺は偽者だ!」
一人ブツブツと言い続けていたニウムは突然そう叫んだ。
その言葉にゴンザレス太郎は正面に立ちニウムを指差し告げる。
「ニウム!」
しかし、少しの間待つが何も起こらない・・・
それを見てサラとフーカも満面の笑みを浮かべる。
そう、それこそがゴンザレス太郎の確認であったのだ。
時は今朝に巻き戻る。
「この藁人形がサラかもしれない・・・」
ゴンザレス太郎のその一言にフーカも偽サラもありえないと言う目を向けたがゴンザレス太郎の頭には地球に居た時に見た一つの怖い話しが浮かんでいた。
それは同級生の首に顔の様な傷跡の在る小さな痣が出来ると言う話であった。
翌日から学校を休み続けた同級生を見舞いに言ったら、その痣が巨大化し同級生の頭が小さくなり入れ替わりを行っていたと言う怖い話だ。
もしこのサラが二人になったのに悪意を持った何者かの手が加えられていたとしたら目的は入れ替わりだろうと読んでいたのだ。
そして、ゴンザレス太郎は一つの解決策を導き出す。
それはマリスを人間にした時に行ったコード『主要キャラの名前変更』である。
何故コレかと言うと一つの理論が完成していたからだ。
マリスを神と言う存在から人間に戻すと言う事は『神』では無くさせると言う事。
そして、ダマとの戦いの時に『神』とは状態異常の一つだと言う事が判明した。
ここから導き出されるのは・・・
『主要キャラの名前変更』は名前を変えて状態異常を全て治した状態にして名前を変更すると言う事なのである。
ゴンザレス太郎は早速ベットで寝ている藁人形を指差し『サラ』と告げると藁人形が本当にサラの姿に変わった。
そして、偽サラの了解を得てその呪いと言う状態異常を解除するとそこには小汚い格好をした少女に変化した。
つまりこれがこの藁人形の正体でこの少女は被害者だったのだ。
そして、これを知っていると言う事は記憶をコピーしたゴンザレス太郎を作り出しても本人自身が自分が本物かどうかを見抜く事が出来ると言う事である。
後はサラがこの現況は必ず接触をしてくると予想していたので二人と別行動を取る事、何か予期せぬ事が在った場合は昨夜キャンプをした場所に移動すると言う約束を取り付けフーカとサラにゴンザレス太郎は『キメイラの翼』を1つずつ預けておいたのであった。
「なのでお前のその能力は俺には効かないし、お前の呪いは無条件でこうやって解除する事が俺には出来ると言う訳だ」
その言葉に苦虫を噛み砕いたような表情を浮かべるニウムは抵抗するのは無駄だと理解し麻痺している自分の体に項垂れるのであった。
ゴンザレス太郎の確認で本物のニウムと言う事も判明し、スキルを使っての脱出も不可能、暴れようにもステータスがカンストしている3人が相手ではどうにもならないと言う現実に諦めたのだ。
村一つを巻き込んだとんでもない能力を持ったニウムですらゴンザレス太郎の相手にはなら無かったのであった。
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