第130話 最終回!…なのか?
「心配しなくても良いよ、君はもうミリーと言うただの女の子だから」
「ふ…ふざけるな!」
きっとマリスは何かをしようと思ったのだろうがそれは発動することなく固まる。
「これで勝ったつもりか?」
「いや、こんなんで済ますつもりはないよ」
そう言ってゴンザレス太郎は主従懇願奴隷の首輪を手にする。
「私が作ったんだから知ってる、私に無理矢理つけても効果は無いぞ」
「知ってるよ、だけど宣言するよ。ミリーは自分からこれを着けることになると」
マリスは固まる。
そんなことはあり得ないと考えているのだろうが今までのゴンザレス太郎がしてきた事を考えると油断はできない。
そして、その時は来た。
「スキル『プロアクションマジリプレイ』発動!」
ゴンザレス太郎の声に身構えるマリス。
マリスはこれがゴンザレス太郎のユニークスキルをしっかり見るのが初めてなのでどんなことをされるのか恐れてのだ。
だが何も攻撃は来ずゆっくり目を開いたマリスの目に映ったのは愛しの王子様タツヤであった。
「た、タツヤ様!あ、あぁ私はなんて事を…貴方に出会える前の私の人生が如何に酷かったか分かりますか?あぁ愛しのタツヤ様、どうか私を抱き締めて下さいませ!」
あまりのマリスの豹変振りにちょっと引いたゴンザレス太郎であったがとりあえず目の前の銀髪少女にその手に持っていた首輪を差し出す。
「ミリー、分かってるよね?」
「はい!一生貴方の奴隷として私の全てを捧げます」
そして、ミリーが首輪を装着したのを見て再びスキルを発動させ解除する。
「さて、どうだったかな?」
「なん、なんなんだお前はー?!」
主従懇願奴隷の首輪をその首に自ら装着したマリスは涙を流しながら泣き叫ぶ。
もうこの首輪は死ぬまでとれないしどうやったのか体は定着し人間としてなっている。
「この世界さ、ミリーが作ったこと以外に色々な物が生まれてるの知ってる?」
ゴンザレス太郎は自分の事を含めて遠い目をして話す。
「これもそうさ」
そう言ったゴンザレス太郎の手に在ったのはリンゴにペンが突き刺さった『アッポーペン』であった。
「アッポーペンって言うんだけど知ってる?」
泣きながら首を横に振るマリス。
「もしこれの対になる『パイナッポーペン』を君が見付けて俺の所に持ってこれたら助けてあげるよ」
「ほ、本当だな?!」
「あぁ、アッポーペンが在ったんだきっとある筈だから頑張って」
そう言ってこの世界でただ一人の奴隷になったミリーは旅立つ。
ゴンザレス太郎が痛みを感じたら同じ場所に痛みを、快楽を受けたら快楽を感じると言う特殊な人間の体で彼女はこれからアップデートで広げてしまった世界を永遠に旅するだろう。
「終わったな」
「魔王か?」
木の影から見ていた魔王が姿を表す。
ゴンザレス太郎がマリスをどうするか楽しみで仕方がなかったから見に来たのともう一つの用事で来ていたのだ。
「全く酷いことをする、クククッ」
「優しいだろ?それにいつでも好きに出来るからな」
「っでだ、何をしたのか聞かせてもらえるんだろうな?」
「簡単な話さ、魔王も日本の生まれなら分かるだろ。『主要キャラの名前変更』でアイツの名前を『マリス』から『ミリー』に変えたのさ』
「なるほど、名は体を表すって訳か」
外の世界であれば何の事はない事象なのだがこの異世界RPGと言うゲームの世界の中では名前を変えられたことで神はゲームマスターの権限を失ったのだ。
この世界では『マリス』の名を登録されている為に彼女はもう二度とその力を使えないし死んだら終わり。
その体を作ったときの設定通りA級冒険者の実力を持つただの人になったのだ。
「そして、もう一つはサラにも使ったことがあるあれだな」
「まだ根に持ってるのかよ、良いじゃん事故だよあれは。偶然『好感度MAX』がサラに効果を発揮したんだから」
そう、マリスが自ら首輪を装着したのは好感度MAXでゴンザレス太郎にフォーリンラブになったからであった。
しかし、装着してすぐ解除するゴンザレス太郎は余程マリスが嫌いだったのだろう。
むしろあれ以上美少女の姿でも近寄られたくなかったのである。
「いや、全く大したもんだよお前は。それで本題だが、どうだ?考えてくれたんだろ?」
「そうだな…サラも10年も待たせてしまったからな」
「ありがとう、二代目魔王の誕生だ!」
「こちらこそ、これから宜しくお義父さん」
こうして、ゴンザレス太郎は田舎を引き払い魔物の町『新アムステルダ』でサラと結婚し幸せな人生を歩むのだった…
完…?
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