若市やましたスキー場
美作為朝
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「約 16,700,000 件 (0.54 秒)」 検索後のブラウザーの一行目の表示より。
カーラジオの天気予報によると天気はさらに悪化しそうだった。
車のワイパーは全開で動いていた。そしてもちろんヒーターも全開。そして車と同じくらい巧自身もホットだ。しかし、外はどこを見ても真っ白だ。車は
妻、
スタッドレスがどんな仕組みになっているのか全く知らないが雪道をまさにしっかり踏みしめ走ってくれる。
大学生のころから始めたスキー。就職、結婚、子育てといろいろ微妙に小さく裏切られてきたが、スキーの楽しみだけには、裏切られたことがなかった。
旅行会社の組むスキー・バスで行くのもいいが、家から車でそのままスキー場に行けるほど時間もお金も節約できるものはない。まさにリーズナブル・プライスでドア・トゥ・ドア。交通費も道路料金にガソリン代だけ。笑いが止まらない。
カーラジオに雑音が多くなってきた。これは、いい。つまらない都会の
カーラジオが言っている。
"シューシュワー、この後、日本列島はシューより一層西高東低シュワー冬型の気圧配置が強まり、太平洋側までシューシュー山沿いをシュワーに、センチ以上の積雪の恐れが、、シューシュワー"
積雪最高じゃないか。暖冬だった今シーズンにようやく来たのだ。雪が、スキーの季節が。
積雪、それこそ巧が待っていたものだ。
今回のスキー場に巧は実は始めて行く。インターネットは恐ろしくてそしてえげつない。
今までは、新聞のスキー場の状態を必死に毎日みて、あれやこれや策や計画を練っていたが、もうそんな時代は、産業革命以前やグーテンベルクの活版印刷以前の時代に思える。
新聞など毎日見なくても、ブラウザの"お気に入り"に入れておけば、数クリックでゲレンデの積雪の状態から価格、宿泊施設、アクセス、すべてわかる。
わかるどころか、比較までして表示してくれる。
しかし、今年巧は、ほんのちょっとアプローチを変えた。というより、ほんのちょっとした禁断の時間、暖冬が巧を変えたのだ。比較サイトはいっても登録されたり、有名なスキー場しか比較してくれない。いわば、新聞のスキー場の記事の
暖冬で暇を持て余した巧みは、ブラウザのタブをいくつも開き、キーワードを変えに変え検索に検索を重ねた。検索エンジンのSEOは大体、ブラウザ上で同じスキー場へと巧を導いてほぼ概ね表示される同じ項目がクリックされ文字は青色から赤紫色に変わっていた。
しかし、ある一つの言葉をキーワードとして入れた瞬間、全ては劇的に変化した。
人は新しいモノ好きだ。新しい施設の新しいスキー場。そして、検索項目でも見るのは大体2ページ目まで、よく見て、3か4ページ目まで。
巧は古いスキー場を調べだしたのだ。そして、SEOがギブアップする寸前の10ページ目、20ページ目まで調べた。
ホームページがある事自体、信じられなかったが、そのスキー場はあった。
確かに存在した。
ホームページがあると思ったのは、巧の誤りだった。掲示板的な
"古いが、宿泊施設罪、激安スキー場、激安駐車場も完備"[スキー好き好きさん]が4年前に書き込んでいた。
宿泊施設罪!?。罪!?。ミスタイプや変換ミスは誰もがすることだ、決して珍しい事ではない。そう誰もが。
場所は、姫路から有料の
どんなコースが待っているのだろう?巧は想像するだけで、ワクワクしていた。
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