第61話 バーコードと新聞
喫茶店のマスターに、丁寧にお礼を言って退出する。
向かうは役場。
俺たちのデスクのある企画観光課。
そう、最初から田舎ファンタジア自体が村おこしだから、
そして、頭髪が特徴的なバーコードの、小太りな課長のところへ行く。
「あの、みよちゃん…、いえ、
「あぁ、みよちゃんね。今週はリフレッシュ休暇だよ。なんでもケイスケくん?かなんかのツアーを追いかけるとか言って、大興奮で休暇に入ったよー。熱心だよねぇー」
課長は俺に、村おこしうまく行ってる? とか聞いてきたので、はい、まあ色々と活動しています、と濁しておいた。
頑張ってねー、というと課長はまた新聞へと目を戻す。
村の活性化の企画のための情報収集だという理由のサボりだよねこれ。
……みよちゃんが占い師のコスプレをずっとしていたのは、ツノを隠すため。
あの適当に縫い合わせたローブは、田舎ファンタジアの物語の序章でこれから先の雰囲気を出すための扮装ではなかったのだった。
『この件が終わったら、占い師の仕事終わりだもーーん!! 嬉しいわぁ』
あのときのこの言葉は、みよちゃんが田舎ファンタジア上の役職を指していたと思った。
が、二役やってたとしたら……
「おい、メモが置いてあるぞ」
俺の机を見たミカゲは、デスクに貼ってある付箋を取り、俺に見せる。
『バレちゃったわね。騙してごめんなさい』
くっそ! 完全に騙されていた。
その付箋にはかわいく魔王の絵が描いてあって、ウインクしてるところとかもうムカつくわー。
腹立ちまぎれにグシャッとその付箋を握りつぶす。
「まあ、三代目が上手だったな。してやられたわ」
「そうですね、わたし、もっと早く気づいていれば……」
「あ、あかねんが悔やむことはないよ、ぼ、僕がもっとしっかりしてればよかったんだ」
ミカゲもあかねんもタローも悔しそうである。
……ていうか事あるごとにいちゃつくなよジャンキーカップル。
ミカゲのイチャイチャはあんまり目にしないから苛つかないんだけど、この二人のはなぜかムカつくな。
「マスター、どうする?」
ここは……
「村長に話をしにいこう。そろそろ魔王との 決戦 だ、と」
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