父母への手紙
親愛なる父さんと母さんへ。
変わりはないですか。僕は元気です。
姉から手紙が来ました。働き口がまだないなんて言い方をしたから、彼女のところで働く羽目になったじゃないですか。確かに、これからのことをまだ言わないでと頼んだのは僕ですが、さすがにもっといい方便はなかったのでしょうか。
この手紙が届くころには、僕もあちらに着いているころと思います。Qという街は……まだ写真でしか見たことがないですが、美しい川辺の古都ということで、その点はまあ、楽しみにしています。
良い写真が撮れたら、送ります。
そういえば、寮の部屋にあった荷物を先日実家向けに送りました。この手紙より少し遅れて届くと思いますが、荷解きが必要なものは入っていないので、箱のまま僕の部屋に置いておいてください。二人宛ての箱がひとつあるので、それだけ開けてください。
また連絡します。二人とも体に気をつけて。
二人が一生の間に食べるチョコレートの重さくらいの愛をこめて、息子より。
追伸
姉さんの店って宝石店なの? 墓石屋じゃなくて?
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