第7話 もう一人の王(前編)

 いつもの朝。

 嘉章はすでに家を出た後だった。聖が鍵を閉め、靴のつま先を地面に打ち付けながら見回すと、周囲の水田や草むらにはうっすらと雪が積もっていた。日陰の水たまりには厚い氷が張り、足の下では、氷漬けになった落ち葉が歩くたびにぎゅっと悲鳴を上げる。暖冬とは言われているものの、寒さは日々確実に深まっているようだ。

 もう何日か登校すれば二学期も終わり。澪に『クリスマス』を教えるのが、今の聖が企んでいる密かな楽しみだ。

 今年はここで年越しをしようと決めていた。両親も、来年は受験があるから、今くらいはゆっくりと寝正月を満喫しろと言ってくれた。幸い、実家が遠い嘉章もこちらに残るようなので、年末年始もいつもの通り、男二人でむさ苦しく過ごすことになるだろう。


 冷たい風に立ち止まってマフラーを巻き直し、前を向いたところで、聖は人影に気付いた。

 田舎に似合わぬ、ずいぶんと都会の香りがする女性が聖の進路を塞ぐように立っている。大学生くらいだろうか、この辺りでは見たことがない顔で、ロングブーツを格好良く履きこなす長身の目線は聖よりも上にあった。

 彼女は目を細めて聖を見つめると、出し抜けに「あなた、聞き耳の子?」と尋ねてきた。問いに答えはせず、聖は聞き返す。

「どなたですか」

「そう怖がらないで。……はじめまして。見前 環(みるまえ たまき)っていいます」

 耳栓をしたまま咄嗟に耳を澄ましてみても、聖には何も聞こえなかった。聞き耳に声が届いてこないということは、妖(あやかし)の類ではなく見た目通りヒトであることは間違いないのだろう。聖としては『聞き耳』と聞けば警戒しないわけにはいかないし、名乗られたって環が正体不明なことには変わりない。名前よりも、何のために現れたのかが重要なのだ。

「あなたと同じく、力を持つ者よ。噂を頼りにここまで来たの、聞き耳に会いに」

「おっしゃる意味が――」

「とぼけるつもり? あなたの力、化け物たちから知ってね。ここまで追ってきたのよ」

 分かりません、とごまかそうとした聖を遮って環はそう言うと艶やかに笑った。緩いパーマのかけられた明るいブラウンの髪が、ふわふわと揺れる。女性らしい柔らかい印象の外見とは対照的な、勝ち気な物言いが何だかアンバランスだ。

 この村に来るまで、そしてここに来てから、聖は澪をはじめとしていろいろな妖と関わってきた。環はその人外の者たちに会って話を聞き、聖を訪ねてきたというのだろうか。

「そうね。私のことを分かってもらうためにも、ちょっと『見て』あげる。口を割らなくても、私にはわかるんだから」

 そう言うと、環の大きな瞳が聖を捉え、心の奥まで見透かしそうな視線が降り注ぐ。まるで体中を観察されているような感覚に襲われて、聖は思わず顎を引いて身構えた。彼女はしばらく探るように聖を凝視していたが、やがて腕を組むと口を開いた。

「聖くんっていうの?」

 さも自慢げに、自信たっぷりに笑う環を、聖はできるだけ平静を装って見返した。

「中学二年。てことは、私よりも五つも下なのね。それに、お兄さんかしら、男の人と二人暮らしで、今日はあなたの方が後から家を出た。今日の朝ご飯は、トーストとベーコンエッグ、チーズとトマトのサラダ、それにコーヒー。インスタントじゃなくて、マグカップに乗せて一杯ずつドリップするタイプのね。その耳栓が力のスイッチになっているの? 耳栓を取ったとたんに耳を両手で覆うあなたの姿が『見える』わ」

 すべて、彼女の言うとおりだった。聞き耳だとか、嘉章のことだとかを言い当てられただけならば信じなかったかもしれない。そんなことは、少し詳しく調べれば分かることだ。が、朝食の献立までもお見通しとはただごとではない。

「どう? 信用してもらえたかしら、私の目。相手の心が読める力、あなたと似ているでしょう」

 この人は、本物なのだ。

 人の記憶や心が『見える』目を持った人間。聖自身が持つ耳のことを考えれば、そういった異能者が他にも存在したっておかしくはない。

 隠し事ができないのなら、覚悟を決めよう。とりあえずは、聖も名乗っておくことにした。

「あなたの力はよく分かりました。僕は確かに、あなたの言うとおり聞き耳です。大音聖、中学二年。……それで、何のご用ですか」

「私と一緒に、街に出て来る気はない?」

「え?」

「能力者どうし仲良くやらないかしらってこと。『力』を持つ仲間、欲しいと思わない?」

 額にかかる前髪を直しながら、環は言った。

 仲間はいらないかと言われれば、いた方がいいに決まっている。しかし突然現れて、初対面でいきなりそんな提案をされても困る。ここには澪がいるし、嘉章も誠太郎もいる。やっと見つけた自分の居場所を捨ててまで環についていく気は、聖にはない。

 それに、常に相手を見下すような環の振る舞いは聖とは合いそうになかった。挑発的な態度や強引さから、環と自分とでは持つ力は似ていても、何かが決定的に違うのが分かった。力のせいで用心深く人を見る目を磨かざるを得なかった聖だ。出会って数分しか経っていないとはいえ、それくらいは感じ取れる。

「すみませんけど、僕はここでの暮らしが気に入っているのでお断りします」

「それは、その和服の女の子がいるから? ずいぶんとご執心のようだけど。その子に『行かないで』とか、何か言われたんでしょう?」

 澪のことまでも見抜かれているのかとぎょっとして見上げると、やはり彼女はしたり顔で腕を組んでいる。相手の心が読めることが何故そんなに嬉しいのか、聖には理解できない。

「彼女は関係ありません!」

「図星かしら。……あら、ずいぶん怒ってるわね。あなたに見える景色が白く曇ったから、分かる」

 鼻で笑って、環はうなずいた。怒っていること自体ではなくて、聖が腹を立てている理由の方を分かってもらいたいのだが、環にはそんな気はなさそうだった。

 力に頼りすぎていると、相手が本当に考えていることや言いたいことが逆に見えなくなる。目の前の情報にばかり気を取られて、自分がどう思われているのか考えようとしなくなるからだ。そういう聖も、環が目の前にぶら下げた餌に食いつきすぎている。

 自覚すると、血が上った頭が少し冷えてくれた。自分としては最大限の努力で環をにらみつけ、聖は冷静に尋ねた。

「言い方は悪いですけど、僕が出会った人たちからも、そうやって聞き耳の――僕に関する記憶を盗み見てきたんですか」

「否定はしないわ」

「とにかく、あなたと一緒には行けません。……学校があるのでこれで失礼します」

「私、諦めないからね」

 聖は環の言葉を聞かなかったふりをして、その横をすり抜け、学校への道を急いだ。相変わらず背中に感じる『目』を振り切るように、早足にその場を立ち去る。聖がやっと安心できたのは、校門の前で登校する生徒たちの集団に紛れられたころだった。


 冬の山を登ってくる人間など聖以外にはいないと思っていたが、どうも先刻からヒトの気配がする。この時間であれば聖は学校にいるはずだ。彼以外の誰かが、山頂を目指して道を辿って来たとでもいうのか。

 澪がそっと様子をうかがうと、聖がいつも腰掛ける大杉の下に娘が一人立っていた。彼女は姿を消しているはずの澪の方へとまっすぐに歩み寄り、「この山でよかったようね」と呟く。視線がかち合って、澪はこの娘がただ者ではないのだと悟った。しかも、彼女の目的はどうやら自分らしい。

 彼女の目を見た瞬間、嫌な感じ――言い表せない不安が澪の胸にわき上がった。鹿のように弱い獣は、本能的に危険を嗅ぎ取るすべを身につけている。聖に現代風に言わせるならば、危険信号とでも表現するだろうか。

 姿を現した澪は、今度は自分から声をかける。

「儂が見えておるな? お主、何者じゃ」

「あなた、ずいぶん可愛く化けてるけどヒトじゃなくて鹿ね。銀に近い白い毛皮が見える。これが本性?」

 かみ合わない。娘は人外のモノの扱いに慣れているのか物怖じもせずに逆に尋ねてきた。確かに澪の正体はその通りだ。相手の中まで見通す力が生まれつき備わっている人間は、何といったろうか――。

「もしや、浄天眼(じょうてんがん)か?」

「さすがにご存じなのね。おっしゃるとおり『浄天眼』、見前環よ」

 西方の守護者、広目天(こうもくてん)が持つという千里眼の別名。妖たちの間では、聖を聞き耳と呼ぶのと同様、生き物の心や過去を見抜く特殊な目の持ち主をそう呼んでいた。存在自体は知っていたが、実際に会うのは澪も初めてだ。

「聖くんの知り合いの山神(やまがみ)さまはあなた?」

「なぜ、お主が聖を知っておる」

「さっき、ご挨拶してきたわ。同じ力の持ち主どうし、仲良くしましょうってね」

 自分の力が他人に知れることを恐れている聖が、初めて会った人間からそれを指摘されたのだ。きっと聖は嫌がっただろうと、澪は内心苦々しく思った。しかし、環が聖に何か害をなしたとか、そういうわけではないらしい。

「聖から、儂のことを見たのじゃな。して、いったい儂に何用かの」

 飲み込みが早くて助かる、という意味のことを小声で言い、環はうなずく。

「私、聖くんが気に入ったんだけど、連れて帰るにはあなたが邪魔なのよね。だから、交渉しに来たのよ。彼はしっかりしてるように見えるけど、まだまだ弱いところがあるみたい。その要素の一つがあなた。そこが綻びれば、私にもチャンスがあると思う。……要するに、彼を引き止めるのはやめて、私に譲ってってことよ」

「……何じゃと?」

 聖を自分の手元に置くために、直談判しに来た。

 突拍子もない話に、澪は二の句が継げず沈黙した。いや、そもそも環の話すことはどうも自分本位で、相手に分かり易く説明するという部分が欠如しているために、内容を理解するのに若干の時間が必要だったこともある。

 『ちゃんす』とは知らない言葉だが、澪は、自分が聖の弱みの一つであるという意味に解釈した。澪がいなくなれば、聖は環のいうことを聞くはずだと言いたいのだろう。

 恐らく、聖がいなくなればまだ力が戻りきっていない自分はいずれ消える。他の誰でもない聖がそれを望むならば、澪は受け入れるつもりでいた。しかし、澪が邪魔だということからすれば、聖自身が環を拒み、この村にいることを選んだはずだ。聖のその意志がある限り、澪には環に従う理由はない。

「環とやら。儂はそのような話に耳を貸すつもりはないぞ。日があるうちに疾く帰れ」

「帰らない。耳を貸すつもりはなくても聞いてもらうわ。……はっきり言うけど、私、あなたを排除しに来たの。あなたがいなくなれば、聖くんはきっとここから出て行く。たとえ存在自体を消せなくても、使い物にならなくすることならできるわ。私には見えるのよ、あなたの中が」

 焦点を合わせるように目を細め、環は歯を見せて笑った。

 一方の澪はそれを他人事のように聞いていた。北風が林に吹き込む音が妙に気になる。聖がいるときなら、淋しい風もそれほどは気にならないのだが。

「鹿だったころの画(え)があるわ。猟師に後足を撃たれたのね。せっかくの白い毛並みが台無し。左の後足の毛皮が血に染まってるわ。痛かったでしょう。足を庇いながらやっとここまで来たけれど、歩けなくなって飢えて死んだ」

 看破した、という顔の環。

「いったいどんな気持ちだった? 絶望? 安堵? 聞かせて欲しいものね」

 鹿だったころ、今も一応鹿であることには変わりはないが、その当時のことはすでに遠くなっていた。鉄砲の音も傷の痛みも、死への恐怖も確かにあったろうが、思い出すのは命を落としたという事実だけ。あとは、ここに神として祀られてからの出来事ばかりが鮮明だ。澪にとってはそちらの時間が長くなっているから、当然といえば当然ではある。

 彼女はなおも読み取った記憶を並べ続けたが、澪がちっとも堪えていないことに気付くと腹立たしそうに「やり方を変えるわ」と呟いた。舌打ちでもせんばかりの表情で風に広がる髪の毛を耳に掛け、前にもまして鋭く澪へと目を注ぐ。

 やがて、ニヤリともニタリとも表現しにくい嫌な笑いを顔に貼り付かせながら、環は言い放った。

「うまく隠してるけど、本当は聖くんに名前を呼ばれるたび嬉しくて仕方がないのよね」

 しまった、と思ったときには遅かった。わずかながら目を見開いてしまい、澪はとっさに自分の足下を見た。心を落ち着かせてから改めて顔を上げると、高笑いでもしそうな勢いでこちらを見下ろす環の姿がある。

「分かり易すぎるのよ。あなたが女の子の顔をするのは、聖くんの前でだけだもの。手が触れたときにどのくらい顔が熱くなるのか、抱きしめられたときにどんなに泣いて喜んだか。……今、立場が違うことにどれくらい苦しんでるのかも、ね。私、代わりに言ってあげてもいい? 聖くんに教えてあげようかしら」

 環は鬼の首でも取ったかのように蕩々とまくし立てる。完全に彼女の術中にあると知りながら、澪はやり過ごそうと小声で呟いた。

「やめよ」

「あら。神様ともあろうお方が、さっきと比べてすごい動揺ね。死んだときの記憶をのぞかれるよりも嫌なのかしら。うまく見えなくなるから、もう少し落ち着いてくれない?」

「黙らぬか」

「……さっさと諦めなさいよ!」

 突如、環は澪を高圧的に怒鳴りつけた。

「だいたい、化け物と人間が一緒に生きるなんて無理だと思わない? 聡明なあなたならお分かりでしょうけど、いくら外見だけ聖くんと同じ年頃に化けたって、鹿は鹿なんだから! 私はあなたと違ってヒトだから、彼と同じ時間で生きられる。能力者同士だから聞き耳の力についても分かってあげられる。きっと、彼を幸せにしてあげられるわ。……わかった? あなたより私の方が聖くんにふさわしいの。だから、さっさと消えて」

 そんなことは、澪だって人に指摘されるまでもなく分かっている。分かった上で、どうすれば聖と共にいられるのかを探して足掻いているというのに。

 いや。

 そもそも、あの日、澪は消えるべきさだめだったのだ。人の営みには手を出さず、馴れ合わずに神として傍観するべきなのかもしれない。自分は、聖のそばにはいてはいけないのかもしれない。

「彼を、私にちょうだい」

 自分を見失いかけていた澪は、環の言葉にはっとして顔を上げた。長年の孤独で、多少心が弱くなっている。これでは駄目だ、気高い白鹿(はくろく)の誇りはどこにいったのだと、澪は自身を叱咤した。聖に依存している魂だから、彼の動向にいちいち気が揉めるのは仕方がないにしろ、仮にも一山を統べる神がたかが娘一人に屈せるわけがない。

 澪は環の瞳と再び向かい合った。

 消えるはずの自分は、聖に出会って生まれ直した。澪の心に刻まれたその事実は澪自身がいちばん良く知っているのであって、環が見ているのは記憶という名の抜け殻だ。

 もう千里眼の恐ろしさは感じず、環の目にはただ高慢な光があるだけだった。『使い物にならなくする』――相手の心を盗み見て弱みを並べ立て、ねちねちと攻めて崩していく。これが彼女のやり方、いや、生き方だ。今まで、いったいどれほどの人間を壊してきたのだろうか。

「お主の口車には乗らん。……お主は一つ、勘違いしておるようじゃ。聖は儂の所有物ではない。聖がお主と共に行かぬことは聖自身が決めたのよ」

「でも、聖くんの頭にはあなたの――」

「青いな、浄天眼よ。言葉で人をどうにかしようと思うなら、推測でものを述べてはならぬぞ」

「……その余裕、気に入らないわ」

 苛立ちを隠せないらしく、環は皮の靴の尖ったつま先で強く地面を蹴る。凍りかけの土が鈍い音をたててえぐれた。

「力があるくせに使わないやつが、私は大嫌いなの。聖くんはまだ若いから、これからどうにでもできる。でも、あなたみたいな偽善ぶったのは、ほんとうに大嫌い。……愛してる男をさらっていく人間から奪い返すくらいのことをしてみせたらどうなの。本当は、私なんか捻り潰せるくらいの神通力があるんでしょう?」

「奪い返すとは物騒じゃの。愛だの恋だの、そんなことではなく、恩人をそのような面倒に巻き込むのが分かっていて儂の力は使えぬわ。……のう、環よ。お主は力を忌んだことはないのか。並外れた異能を、嫌だと思ったことはないのか」

「ないわけじゃないわ。でも、この目のことを隠していたって自慢したって、周りから変な目で見られることには変わりないのよ。だったら、せっかく持って生まれたものを自分のために使うのは当然でしょう」

「ならば、聖はお主にはなびかぬよ。あやつは争いごとを好まぬし、聞き耳をこれ見よがしに使うことを、何より嫌っておる。お主のように他人を傷つけるための力は持っておらん」

「私、自分が思うようにしたいだけ。人を傷つけようとなんかしてないわ。勝手に被害者ぶってればいいじゃない」

 環は軽蔑と言ってもいいほどの眼差しで澪を睨め付ける。

 ここにきてようやく、澪は環から感じ取った危険が何だったのか理解できた。彼女からは肉食獣の匂いがするのだ。自分が生き抜くためなら周りを傷つけることを厭わない、獣の匂い。血が香るというわけではないが、澪にまだ残るわずかな野生の嗅覚は確かにかぎ当てていた。

 聖は聞き耳の力からは逃れられないことを知り、重荷に感じながらも、受け入れて優しく生きようとようやく歩み始めたところだ。彼自身は多くを語りたがらないが、この土地へ落ち着くまでは力を外や内、他人や自分に向けたこともあったという。先ほどの言いぶりからすると環も悩んだ時期があったようだが、結論は聖と逆の形になったのだろう。誰も彼女を責められはしない。

 だが、澪は同情し、黙って害されるほどおとなしくもない。

「あなたのことを話に出された一瞬だけ、彼は感情をむき出しにしてた。なのに、大事にされるのが当然みたいな顔して、それも気に入らない。……何と言おうと、あなたがいるから聖くんはここを離れないのよ。それなら、未練も残らないほど完全にあなたを潰してしまうまで。もっと深いところまで『見て』ね」

「そう簡単にはいかぬよ」

 澪がそう言うが早いか、風が強まり、ざわざわと木々が鳴り始める。山神の怒りに森が共鳴し始めているのだった。環の言うとおり、本調子ではない澪でも彼女を吹き飛ばすくらいは容易にできるが、恐らくそれでは解決にはならない。不本意ではあるが、多少はこらしめて山を追い返すか――。

 澪の赤く光る瞳に環が眉をひそめたその時、三人目の声が響いた。


「学校をサボってきました」

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