たった一人しかいない、あなたという人へ。


僕の世界は暗かった


影ばかりのモノクロの世界に

何も感じていなかった

傷口から流れる血も黒くて

まるで影すら僕から逃げているようでした

そんな僕の世界に あなたが現れた


僕の世界に色がいた


流れゆく鮮やかな色彩いろ

見知った世界が真新しくなる

傷口から流れる血も紅くなって

生命いのちの脈打つ熱さに思わず叫んだ


そんな情けない僕を


あなたは受け入れてくれた


何を今更

―今まで助けてくれなかったのに

どうして今更

―助けてくれなんて言ってないのに


思う言葉はたくさん在るのに

口を吐いて出たのは



「…ありがとう…」



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