第6話 リアルフレンドと狩り予定
改めてゲーム世界に降り立った。どうやら前回ログアウトした場所のようだ。
フィールドでログアウトとかしても同じなのかも後で確認しておきたいな。そう思いながら、適当に街の中を歩くことにする。
キャラ名とかメルアドはあっちが知ってるからログインしたら連絡がくることになってる。でも、フィールドに出るのは微妙か――やばい、何も知らない金もないから特にやることないな。
観光でもするか。
特に理由もなくショッピングロードへやってきた。露店を開くのは生産職の人が多いが、特殊なアイテムが必要らしく今いるのはβテストプレイヤーがほとんどらしいが――それにしては数多いと思わないでもないな。
βテストを行ったときの人数を知らないので、実際にはこれくらいはいて当たり前なのかもしれないが、考えても意味が無いのでひとまず置いておくことにする。
少し歩いてみるとアイテムを売る人から武器や防具を売る人に装飾品と呼ばれるアクセサリー等を売ってる人まで多種多様だ。
「それにしても剣が多いな」
店を見ている人も店に売っている品を眺めても剣の比率が多いように感じる。
やっぱりファンタジーと言えば剣という何かがあるのか、単純に使いまわしがいいのかが理由なんだろうけど、槍の人は今のところ見かけない。そもそも武器を街中ではしまっている人もいるのか、何も手に持ってない人もいる。
「あ、でも魔法の可能性もあるのか……見た目だけじゃ決めちゃ駄目そうだな」
うんうんと誰に対してでもなく自分に対して頷いていると、通知音がなってすぐに通話にでる。例に漏れず手を耳に当ててしまう。
『よっす、アキであってるか?』
「あってるよ」
『よしよし、今どこにいる? センターシティか? ってこれじゃ通じないか』
「いや、夏海ちゃんから聞いてるからわかるから大丈夫だ。そんでそのとおりだ」
『そんじゃ西が初心者向けというか、序盤向けのモンスターが多いから西門少しでた平原にきてくれ。緑髪の男がいたらオレだ』
「また目立つというか珍しい色を選ぶな……わかった」
『おう、ついでにフレンド申請しておいたから許可しておいてくれ』
「はいはい。すぐ向かうから切るぞ」
『あいよー』
通話を切ってフレンドを確認して許可を出しておく。隼人のキャラ名はファルコになってる。多分、隼人の隼の漢字からなんだろうな。
ショッピングロードを抜けるように俺は走って西門へと向かう。
西門を出ると言われたとおりに平原が広がっている。モンスターやプレイヤーもちらほらみえて、その中に緑髪の人間が――4人ほど見かけた。そのうち遠目だと男は2人いるようにみえる。
「どっちだ……」
チャット形式のメッセージで『近くに目立つものとかない?』と送ってみる。返事はすぐに返ってきた。
『全身甲冑の大男がいる』
見てみるとすぐに居場所は判明した。俺は手を振りながら近づいてみる。
「お……おーいこっちこっち」
なぜか俺を見つけて手を振り返す時に間ができてた。
隼人――ファルコの周りには全身甲冑の金属人間みたいになってる大男と三角帽子をかぶっているまさに魔女っ子ともいえる小さい女子がいた。
「いや、やっときたか……武器は? 肉体系? もしかして魔法?」
「街の中で持ち運びに困ってて閉まってただけで、槍だ」
「また扱いが難しそうなもんを、まあそんじゃあ装備しておけ。2人に紹介するな。オレのリアフレのアキだ」
そう言ってファルコは2人を俺に紹介してくれる。
やっぱりこの2人仲間だったのか。甲冑の人は甲もつけていて、アイテムかそれとも光の反射なのか目が光ってるみたいにこっちを見てて、強いモンスターにも見える。
「アキも紹介するな。守護戦士のフェンスと火属性魔法使いのカタタだ。βテストの時に知り合った」
「フェンスである。【重鎧】と【盾】スキルをメインにあげている見ての通りの守護戦士であるぞ」
「魔法使いのカタタでっす」
フェンスは思ったよりも気さくだった。
「しかし、ファルコも隅に置けぬな。あれほどβの時に彼女がほしいと愚痴っていたのに可愛いリアフレがおるではないか」
可愛いとか言わないで欲しい。こんなんでも男だから複雑な気持ちだ。いじられ慣れて入るけどさ。
「ぶふっ……そ、そうだな」
そしてこいつも否定しないで、吹き出して震えてやがる。さっきの間は「女になってる」とか笑いそうになったってやつか。今度あったらリアルで殴ってやる。
「たしかにねー。まあでも男女比が2対2でカタも気が楽だよ」
いや、男なんです。すいません、男女比は3対1なんです。
「アキだ。俺は男だから、勘違いしないでもらえれば。一応、まだ慣れてないけど槍使いしてる」
「俺っ娘とはギャップがいいであるな」
そういうんじゃないんだよ……って声を大にしていいたいけど、今の姿での説得力を考えられないほど馬鹿じゃない。ひとまず今は心のなかでだけ叫んでおくとしよう――そういうんじゃないんだってば!
「ま、まあまあ落ち着けって。とりあえず、揃ったしレベル上げに狩りでも行こうぜ」
「いい加減笑いこらえるのやめろ」
さすがにしつこいのでとりあえず蹴りをいれる。
「あがっ! ダメージにならないじゃれ付きは痛覚結構反映されるんだから加減しろ!」
「うっせぇ!」
「仲いいね」
「であるな。楽しい狩りになりそうである」
くっそ、絶対にいつかこの誤解を解いてやる。そう心に誓いながらパーティーを組んで平原の近くにある林へと俺たちは向かうことになった。
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