6話 古城の急所「城にも穴はあるんだよな…」
さらわれた花嫁を救い出すべく、吸血鬼ヴェゼラの城に攻め込んだバリー・ベルモッド。彼は城内で迫りくる魔物達を庭先で手に入れた武器を振るい、次々と薙ぎ倒していた
「ブォン!」
「ひぎぃ!」
「ベチャ!」
ゴブリンがバリーの新たな武器である巨大な鞭で薙ぎたをされ壁に叩きつけられる。
「ブオン、フォン!」
「あぐ!」 「うわ!」
動く甲冑、幽鬼犬、などなど次々と魔物達がバリーの鞭の前に生物無機物関係なく薙ぎ払らわれていく。その武器を振るうバリーが悪態をつく
「くっ!大鞭とは負担が比べ物にならないか・・・」
「しっぽぉぉぉ♡敏感しっぽブンブン振り回されてりゅのほぉぉ♡」
しっぽと喘ぎ悶えるバリーの新たな鞭ネトラレ・メデューサ・アヘ顔・テイルウィップ。本来武器ではないそれを、バリーは器用に扱いながら城内を突き進んでいく
「しぃっぽおおぉぉぉ♡」
「うるさいぞメス蛇め!くそう、城内は流石に敵が多いな・・・待ってくれマリアンヌ!」
「ああ・・・他の女の名前を呼ばれながら物扱いされてるのほおおぉぉぉおお♡」
バリーが城内で暴れているころ・・・・ヴェゼラは――――――
「なにやら下が騒がしいな」
エルダーリッチは水晶球を使い、下の様子をうかがいながらヴェゼラに話しかけた
「はい、あの人間思ったよりもやるようです・・・。それよりあの女はどうします?」
「さらってしまったのだから吸うしかあるまい・・・。正直な所、腹を壊しそうで嫌なのだが吸血鬼の伝統だ」
ものすごく嫌そうな顔をしながら答えるヴェゼラにエルダーリッチは言う
「あの女は諦めて別の女を捕らえればよろしいのでは?」
エルダーリッチの問いに、困惑に歪んだ顔を無理矢理引き締めヴェゼラは答える
「それはできん。夜の貴族たる我が伝統を軽んじては吸血鬼の沽券にかかわる。文化や仕来りが有ってこそ貴族と言う身分が成り立つのだ。ただ力を振るい従わせるだけでは山賊と変わらん」
「おっしゃる事は分かるのですが・・・流石にアレはどうかと・・・」
ヴェゼラの表情がまた歪んでいき、言葉も歯切れの悪い物になった
「いや、しかし・・・騒ぎがここまで大きくなってしまうともみ消す事も出来ん・・・。そう言えばあの女は今頃どうしている?」
「少々お待ちください・・・あの女なら・・・」
その頃マリアンヌは――――――
「ふんっっ!」
トイレで踏ん張っていた
「おい女!流石にもう出ないだろ。これで何回目だ?さっさと出て来いよ」
外の見張りの魔物がマリアンヌに早くする様に呼びかけるが、マリアンヌはまだ出てくる様子は無い
「あともう少し・・・!、おふぅん♡」
「まったく、変な声出しやがって・・・・。誰か見張り替わってくれないかな」
そう、見張りだ。マリアンヌは魔物達から ”この城に居る限り常に見張ってるぞと” 警告されていたのだ
「常に見張られていると言う事はこのトイレ中も♡」
その言葉がマリアンヌを興奮させていた。だがマリアンヌは必死に平常心をよそおっている
「くふん♡駄目よマリアンヌ・・・奴らの思惑に気付いていると覚られては。見られてるのを知れながら行う痴態なんてただのストリップショー!覗きではなくなってしまっては意味がありませんわ!・・・まさか、この穴から・・・下から直接覗いてる可能性もぉ♡」
完全なマリアンヌの勘違いだが、今回に限ってはあながち間違っていなかった。何故なら外には――――
「ぐぬぬぅう!さすが吸血鬼の城、窓も補強されて日光の入る隙間さえない!」
オルフェが空を飛び、上空から侵入経路を探していた
「だが!この屈強な防護にも必ず穴はあるはずだ・・・・あった!」
そう穴はあった。古城ならでわの防御の穴、トイレだ。古い城のトイレは
「この角で下から突き破ってくれるぅう!!」
だがこの方式のトイレは今は使われていない、大砲が開発された為だ。攻城戦のさいは、まずトイレにむかって大砲を撃ち込み、空いた穴から兵士を突入させ城を攻め落とす戦術が出来てしまい、後にトイレ事情は色々改善された・・・
むしろ改悪される事もあった。トイレの数が異様に少なかったり、そもそもトイレが無い宮殿が出来てしまうなど、大砲の発明は衝撃的事件だったのだ
「ふおおぉぉぉぉ!」
そういった事情を知っていたオルフェは、古城の急所トイレに向かって角で体当たりを挑んだ。中のマリアンヌも持ち前のMセンサーで感じ取り・・・
「なにか馬並みのモノが下から迫ってくる!?ついに魔物が本気に♡このケダモノめぇ…。でも待つのよマリアンヌ、あくまで知らぬふり、ここで気づいたら台無しよ♡」
そうとも知らず見張りの魔物がマリアンヌに声をかける
「おい!いい加減長いぞ!さっさと出て来い!」
「後もうちょっと!後もうちょっとなのおお!」
勢いよく突進するオルフェもMセンサーで感じ取った
「これは人間に女性?・・・いかん!このままでは直撃してしまう!」
オルフェは寸前の所で角の軌道を変え、マリアンヌは直撃をまのがれた。マリアンヌもオルフェも一流のM、決して交わる事はないのだ。二人は見事にすれ違う
「ドォン!」
オルフェ頭部がぶつかる衝突音を聞いて、見張りの魔物は
「なんてデカい音だ・・・相当溜まってたんだな。便秘か?」
と思って油断していると。ユニコーン(?)の段のある捻じれてデコボコした角で肌を擦られて奇声を上げる
「ほぉぉおお?!?!?!?♡太くて長くてデコボコしじゅぎぃぃぃいい♡」
それを聞いた魔物はうんうんとうなずいた
「うんうん、溜まってると固くなっちまって出すのホント大変だよな」
オルフェは角を抜こうとしたが
「いけない!中の魔物に気づかれ・・・」
「ガシ!」
マリアンヌに掴まれてしまった
「ダメェ!今動かしたらダメなのぉお♡」
「え!ちょっと放してください!!」
魔獣化したオルフェの怪力をもってしてもマリアンヌは引きはがさなかった
「ぐぬぬ・・・なんて力だ・・・ウオオオオオオ!」
「強くしちゃらめえええええええ!」
「ガタガタガタ!」
二人の引っ張り合いにより城のトイレは大きく揺れる
「なんだ!?地震か!?」
突然の揺れに見張りの魔物が動揺していると、トイレの一室が・・・
「ボロ!」
「あ・・・・」
オルフェに引っ張られ、もげた
「うわわわわわわあああああ!!」
「きゃあああああああああ!!」
トイレごと下に落下する二人。もうダメかと思われたその時
「よいしょ・・・」
死神の様な大鎌を持ったエルダーリッチが空中に現れマリアンヌを掴んだ
「あっ」
「さあ、部屋に帰りますよ・・・」
エルダーリッチがかすれた声でマリアンヌに言うと二人の姿は消えた
「スゥ・・・…」
だがトイレが角にはまって飛べないオルフェはそのまま下の糞尿まみれの泉に落下した
「ああああああああ!!!ぐべ!」
「バシャアアン」
着水の衝撃でトイレは粉々になり。ある意味、童貞を喪失するチャンスを逃したオルフェはしばらく水面を漂っていたと言う
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