彼と彼女の奇妙な生活・1


 ココロとミロクの共同生活一日目にしたことは、ミロクの服選びだった。


「いやせめて下着だけでも着てくれ」

「ブラもショーツも好きじゃありませんの。締めつける感じが嫌ですの」

「ってそれじゃほとんどの服が着れないじゃないか」


 下着類はもちろん、ズボンもスカートもはけない。唯一着ることが出来るのは、肩に引っ掛けるだけの服だけか。


「別に裸でも「それはやめてくれ」


 ココロはミロクの提案を制した。 


「大体、首輪はどうなんだ、首輪は。思いっきり締めつけるだろうが」


「あら、知りませんの? 首輪は締めつけるよりも抜けないことが重要視されるのですよ? ほら、この首輪も締めつけて無いでしょう?」


 カラカラカラとミロクは首輪を揺らす。なるほど、ミロクにとって首輪はアクセサリに近いようだ。


「屁理屈じゃないかそれ。ともかく、襟の広い大きなTシャツでも何でも良いから着てくれ、お願いだから」


「嫌ですわ、そんなものを着るなんて。婦人の服を選ぶのも紳士の必要条件ですのよ?」

「あんたは一体僕に何を求めてるんだ……」

「あんた、じゃなくてミロクです」

「はいはい」


 そんな不毛な戦いの結果、ココロはミロクに三着のワンピースを選んだ。赤、白、黒の三種類。

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