第12話 待ち人




この街の中には持ってないものが多すぎる。



欲しかったバッグ、


欲しかった友だち、


欲しかった100点、


欲しかった青春、


欲しかったお父さん、



欲しかった愛情…



希望を言うならば、

これから未来のものは、現在の自分自身で選んで、得ていけばいいということ。




それでも、待ち人は来ない。



待っても待っても、泣いたってダメだ。


幼い頃の風貌のわたしがめそめそと泣いている。声もあげずに。



待ち人は来ない。


何故ならそれは自分自身であるのだから。


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