第80話・ダンジョン内の死闘
どこまでも先が続くんじゃないかと思える暗闇のダンジョン。
不覚にも崩れ落ちた床から遥か下の階層まで落ちてしまった俺達四人は、上へと戻る為の手段を探す中で結界に隠された通路を発見してそこへと足を踏み入れていた。
そしてその隠されていた直線の通路を進んで行く中、俺の胸中には言い知れない不安がどんどん広がってきていた。それはこの通路の先から流れて来るとても嫌な気配のせいだと思う。
「あっ、もうすぐ通路を抜けるわよ」
直線の通路を歩く事しばらく。先頭を歩いていたラビィからそんな声が聞こえてきた。
そしてどこまでも続いてるんじゃないかと思えた直線の通路が終わると、今までとは比べ物にならないくらいの嫌な感じが俺の身体を包み込んだ。
俺はその嫌な感じを受け、咄嗟にスキルのゴッドアイを発動させた。
ゴッドアイによってはっきりと見えた空間はとても地下空間とは思えない程に広く、天井の高さはパッと見で五階建てビルに相当するくらいに高い。横幅もざっと見で五百メートル以上はある様に見える。
「うおっ!? な、何だ!?」
次にだだっ広い部屋の奥を見ようと思った瞬間、いきなり俺達の居る空間全体が何かで照らされた様にパッと明るくなり、俺はその眩しさに思わず目を瞑った。
「右側に走って!!」
目を瞑った瞬間に聞こえてきた唯の慌てた声に反応し、俺は急いで右方向へと走った。すると次の瞬間、俺達がやって来た通路のある側から凄まじい轟音の後に何かが崩れ落ちる音が聞こえてきた。
「な、何じゃこりゃ――――――――っ!?」
その音に反応して無理やり目を開き状況を見ると、俺達がやって来た通路が崩れた石によって塞がれてしまっていた。
「お兄ちゃん油断しないで! 来るよ!」
唯の声を聞いて急いで臨戦態勢をとると、だだっ広い部屋の奥に身の丈八メートルはあろうかという黒い光の様なものを纏った巨大な骸骨が俺達を見据えていた。
「ア、アンデッドモンスター!? しかもでかい!」
「このダンジョンに漂っていた嫌な気配はコイツのだったみたいだね。だったら話は早いよ。ライトオブセイバー!」
唯が右手を前に出して魔法を発動させると、静かに輝く一本の剣が
「みんな。これから私がアイツに攻撃を仕掛けるから、敵の反撃に気を付けてねっ!」
言うが早いか、唯は静かに輝く剣を構えて黒の光を纏うアンデッドの方へと走り始めた。
「お、おいっ! 唯っ!」
「大丈夫です。あのライトオブセイバーは、唯さんが持つ対アンデッド用最大のマジックウエポンですから。あの武器に斬られて無事で済むアンデッドは居ません」
ラビエールさんの言う様に、あの武器が凄まじい威力だろう事は分かる。だが、あのアンデッドは何かが変だ。それが俺の中にある不安を余計に駆り立てる。
「てりゃあっ!!」
そんな事を考えている間に唯はアンデッドのもとへと辿り着き、大きく飛び上がってマジックウエポンの一撃を相手の頭へ斬り下そうとしていた。
思ったよりも相手の動きが鈍かったおかげか、その光景を見ていた俺は唯のマジックウエポンによる一撃は難無く相手を捉えて決まると思った。
「きゃあっ!」
しかし唯がその一撃を斬り下した瞬間、マジックウエポンとアンデッドとの間で激しい衝突音がし、次の瞬間には唯が遠くの壁に叩き付けられていた。
「唯っ!?」
唯が壁に叩き付けられてから地面へと落ちたのを見た瞬間、俺はすぐさま唯の方へと走り始めた。
しかし次の行動を起こしていたのは俺だけではなく、唯の攻撃を受けたはずのアンデッドが怯む事なく巨大な口を唯の方へと向けて開き、そこから巨大な魔法の一撃を放とうとしていた。
「唯っ! こっちに向かって転がるんだっ!」
見ていただけでも相当な衝撃があったのが分かるから、唯もかなりのダメージを受けていたと思う。現に唯は俺の言葉に反応こそしているものの、ダメージで身体が思う様に動かない様子だ。
そうこうしている間にも、アンデッドは唯へ向けた魔法を打ち放とうとしている。このままでは確実にアンデッドの魔法攻撃の方が早く発動してしまう。
俺は急いで唯の救出に向かうが、圧倒的に速さが足りていない。
「くそっ! くらえっ!!」
俺は腰に携えていた短剣を右手で引き抜き、それを使ってアンデッドの意識をこちらへと向けようとそれを投げ放った。
しかし投げ放った短剣はアンデッドへ当たる前に黒い光によって遮られる様に弾かれ落ち、その意識をこちらへと向ける事はできなかった。
「マジかよっ!? これじゃあ間に合わない!」
「ホープザレイ!!」
「グゴアァァァ」
もう駄目かと思ったその瞬間、背後から無数の光がアンデッドへと向かって飛んで行き、それに当たったアンデッドは体勢を崩して仰向けに倒れた。
しかしアンデッドが放とうとしていた魔法は体勢を崩す最中で天井へと向かって放たれてしまい、魔法が直撃した天井からは凄まじい轟音の後で多くの石が崩れ落ちて来た。
俺は必死にその合間を縫って移動をし、何とか唯を抱え上げてから救出する事に成功した。
「おいっ! 大丈夫か!? おいっ!!」
「う、うん……大丈夫。ちょっと身体を強く打って痺れてるだけだから……」
「それのどこが大丈夫なんだよ。ラビエールさん、回復をお願いします」
「はいっ!」
俺は助け出した唯を床に寝かせ、ラビエールさんに回復を任せた。
その間にもラビエールさんの魔法攻撃を受けて体勢を崩したアンデッドは立ち上がろうとしている。
――おいおい、あれだけの攻撃を受けて無傷ってか? 洒落になってねーだろ……。
唯の強力なマジックウエポンによる一撃や、エンジェルメイカーであるラビエールさんの魔法攻撃にすらダメージを受けている様子が無い。この状況が意味するものは、俺やラビィではあのアンデッドに太刀打ちする術が無いと言う事だ。
こうなれば一度逃げるのが得策ではあるが、既に退路は断たれているし、だからと言って進むにはあのアンデッドが邪魔だからどうしようもない。これは絶体絶命のピンチだと言っても過言ではないだろう。
そんな事を考えている間にアンデッドは体勢を整え、再び立ち上がった。俺は立ち上がったアンデッドがすぐにでも攻撃に移ると思って身構えたが、どう言うわけかアンデッドはじっとしたまま様子を窺う様にして動かない。
――何だ? どうして動かない?
「リョータさん、唯さんの回復が終わりました」
「ありがとうございます! 唯、大丈夫か? ちゃんと動けるか?」
「うん。大丈夫! 次は油断しないから」
「ちょ、ちょっと。あんなの倒せるの? 大丈夫なの?」
「「…………」」
ラビィの言葉に唯とラビエールさんは答えない。いや、きっと答えたくても答えられないんだと思う。
なにせ俺が何となく気付くくらいなんだから、この二人がそれに気付かないわけがない。あのアンデッドがただのアンデッドではない事に。
「ちょっと! 何とか言いなさいよっ!」
「ラビィ! 一度しか言わないからよく聞け! あのアンデッドは普通とは違う。唯やラビエールさんの攻撃が効かなかったんだから、俺とお前の攻撃じゃ万に一つも勝ち目は無い」
「はあっ!? だったらどうするのよ!? このままじゃやられちゃうじゃない!」
「だから考えろっ! どうやったらアイツに勝てるのかを!」
「ウゴアアアアア!!」
そんな事を言っている間にアンデッドは雄叫びを上げて移動を始め、俺達の方へと向かって来た。
「唯! ラビィ! アイツには迂闊に近寄らずに距離を取って攻撃を仕掛けてくれ! ラビエールさんは後方から俺達がアイツの攻撃を受けないように援護をしつつ、もしもの時の回復をお願いします!」
「了解だよ、お兄ちゃん!」
「分かりました!」
「たくっ! この私が協力してあげるんだから、絶対にどうにかしなさいよねっ!」
ここからしばらくの間、唯はライトオブセイバーでの
「うぐっ……」
「大丈夫ですか!?」
「は、はい。ちょっと敵の魔法がかすめただけですから。うぐっ……」
「少しじっとしてて下さい」
敵の攻撃でダメージを受けた俺に、ラビエールさんが回復魔法を使い傷を癒してくれる。
正直、ラビエールさんに来てもらったのは大正解だった。もしもラビエールさんが居なければ、とっくの昔に俺達は全滅していたかもしれないから。
「てりゃあああ――――っ!!」
回復を受けている俺から離れた場所では、唯が必死にライトオブセイバーを使って戦っている。
しかしその攻撃は、アンデッドの黒い光に阻まれて本体に届いていない。ラビィのピュリフィケーションも同じ様にあの黒い光に阻まれて効果を発揮しないし、俺のラッキースティールもピュリフィケーション同様に通用しない。
唯一ラビエールさんの放つ魔法だけは黒の光に阻まれても衝撃が本体に伝わっているのか、アンデッドは体勢を崩す。だがそれも、あの黒い光のせいで決定打にはならない。
――何だろう。時々アイツの動きが極端に鈍る時があるんだよな……。
最初は気のせいかと思っていたけど、実際に戦っている内にそんな場面がいくつかあった事に俺は疑問を感じていた。その事に何か意味があるかは分からないけど、こういった事がこの状況を打破する切っ掛けになるかもしれない。
そう思った俺は、回復を受けている間に必死で考えを巡らせていた。
――ん? そういえばアイツ、何でこっちを向いてるんだ?
現在アンデッドは唯からの激しい攻撃を受けている。それにもかかわらず、あのアンデッドは攻撃を仕掛けている唯ではなく、俺達の方を見ている。その事に俺はちょっとした違和感を覚えた。
「回復が終わりました」
「ありがとうございます!」
その違和感に対して答えが出ないまま回復が終わり、俺は再び戦闘へと復帰した。
しかし状況は最初とまったく変わらず、こちらが消耗していくだけのジリ貧戦になっていた。
「唯! 大丈夫か!?」
「だ、大丈夫だよ。ちょっと落ちてる石に足を取られただけだから」
「とりあえず俺とラビィが引き付けておくから、唯はラビエールさんから回復魔法をかけてもらえ」
「うん。分かった」
俺の言葉に従い、唯はラビエールさんの居る場所まで後退して行った。
そしてラビエールさんが唯に回復魔法を使い始めた途端にアンデッドの動きが鈍り始め、攻撃を仕掛けている俺とラビィではなく、唯達の方を見据え始めた。
――もしかしてコイツ、回復魔法に反応してるのか?
そんな考えが俺の頭を
もしも俺の推測が正しければ、このアンデッドを討伐する事が出来るかもしれない。しかし俺の考えはあまりにも非現実的で、確たる根拠は無い。
だが、このまま手をこまねいているだけではいずれやられてしまう。それなら一度は俺の考えた方法を試してみるのもありだと思えた。
「ラビィ! 俺達もラビエールさん達のところまで後退するぞ!」
「はあっ!? どうしてよ!?」
「いいから下がれ! もしかしたらアイツを倒せるかもしれないから!」
「わ、分かった!」
俺はラビィと一緒に後退を始め、その最中でラビエールさんに向かって大きく叫んだ。
「ラビエールさ――――ん! 何でもいいので回復魔法をあのアンデッドに向けて放って下さ――――い!」
「えっ!? 回復魔法をですか!?」
「そうです! お願いしま――――す!」
「わ、分かりました!!」
「ちょっとリョータ! アンタ何考えてんの!? 敵に向かって回復魔法なんて!」
「いいから黙って見てろ!」
背後から迫って来るアンデッド。
それを時々振り返り見ながら後退しつつ、ラビエールさんが回復魔法を放つのを待つ。
「ハイ・ヒーリング!!」
ラビエールさんの持つ杖の先から、淡く美しいエメラルドグリーンの光がアンデッドへ向かって行く。
「グガ!? ウガガガゴガガアアアアアッ!!」
今まで俺達のどんな攻撃を受けてもほとんど反応すら示さなかったアンデッドが、ラビエールさんの回復魔法を受けて凄まじい雄叫びを上げながらもがき始めた。
「これはいったいどういう事です? リョータさん」
「詳しい説明は後でしますが、ラビエールさんのおかげでやっと分かりましたよ。どういう理屈かは分かりませんけど、アイツの弱点はほぼ間違い無く回復魔法です」
「だったらエルにずっと回復魔法をかけ続けてもらえばいいじゃない」
「いや、多分それだけじゃ勝てない。アイツを倒すには、アイツの身体を覆うあの黒い光をどうにかしないといけないと思う。ラビエールさん、貴方から見てあの黒い光は何だと思いますか?」
「……おそらくあの黒い光は、無数の邪霊などが寄り合わさってできた強力な結界なんだと思います」
「結界と言う事は、ラビィがあの光に触れば壊せそうですか?」
「それは私にも分かりませんが、可能性は高いと思います。ですがあの結界の密度があまりにも濃いので、あの黒い光を生み出している中心点に触れなければ効果は無いかもしれません」
「それはまた厄介ですね……」
――中心点か……そんなの見つけられるのか?
「それだったら多分、アイツの左胸だと思うよ? お兄ちゃん」
「どうしてそう思うんだ?」
「アイツと戦ってた時に黒の光が強度を増す時があったんだけど、その時のエネルギーの流れが左胸を中心に出てたから間違い無いと思う」
我が妹は本当にどこまでも優秀だ。戦いの最中もしっかりと色々な事を見ている。おかげでこの局面を打開する事が出来るかもしれない。
「聞いての通りだラビィ。この局面はお前の力無しには突破できない」
「じょ、冗談じゃないわよ! あんなのに触れるなんて無理よ! もしも触れてどうにかなっちゃったらどうするの!?」
「お前には絶対防御もあるから大丈夫だとは思うが、もしも何かあって再起不能になったら、俺が一生面倒を見てやる。だから頼む! アイツの結界を吹っ飛ばしてくれっ!」
この異世界に来てから始めてラビィに本気で頭を下げた。このまま全滅するくらいなら、ラビィの面倒を一生見た方がまだマシだと思えたからだ。
「……その言葉、嘘じゃないでしょうね?」
「ああ。嘘じゃない」
「…………ああー、もうっ! 分かったわよ! やればいいんでしょ! やればっ!」
「ありがとう! ラビィ!」
「ふ、ふん。別にリョータ達の為にやるんじゃないわよ。このままリョータがやられちゃったら、奢りでパチパチを飲めなくなるからよ!」
「理由は何でもいいさ。とりあえずよろしく頼むぜ! 唯、俺と一緒にラビィをサポートしてあの黒い光を消し飛ばすぞ!」
「了解だよ! お兄ちゃん!」
「ラビエールさんはラビィが結界を消し飛ばしたら、思いっきり強い回復魔法をアイツにかまして下さい!」
「分かりました!」
「よしっ! それじゃあ行くぞ!」
俺達がやるべき事を認識してアンデッドへ突撃を始めると、回復魔法でもがいていたアンデッドがゆっくりと立ち上がってこちらを見据えた。
アンデッドは突撃して来る俺達目がけて大きな拳で殴りかかって来たが、ラビエールさんの回復魔法の影響か動きが格段に鈍くなっている。
そんなアンデッドの状態を察した俺は、ラビィが左胸付近へ触れ易い様に相手の体勢を傾ける様に動く。だが、アンデッドの方も俺達が何かをしようとしているのかを察しているかの様にして動き、なかなか体勢を崩さない。
――くそっ! まともに攻撃が当たらないんじゃ体勢を崩すのも難しいか。
「ホープザレイ!!」
一向にアンデッドの体勢を崩せないでいたその時、無数の光がレーザーの様にアンデッドへと降り注ぎ、その衝撃でアンデッドは仰向けで地面へと倒れた。
「今だラビィ――――!」
「とりゃあああああああ――――っ!!」
倒れたアンデッドへ向かってラビィがジャンプをし、その左胸付近へと右手を突き出した。
そしてその突き出した右手がアンデッドの左胸付近に触れると、アンデッドを包み込んでいた禍々しく黒い光は一瞬の内に消し飛び、黒い光に被われていた本体が
「セイクリッド・ターンヒーリング!!」
「グガガガッガガガアアアアアアアッ!」
本体が露出した隙を見逃さず、ラビエールさんが何だかとても凄そうな回復魔法をアンデッドへ放った。
するとアンデッドは苦しげな声を上げ、そのまま原型すら残さずに灰となって消え去った。
「おっしゃ! やったぜっ!」
「ふうっ……お疲れ様、お兄ちゃん」
「おう! 唯もお疲れ様。よく頑張ってくれたよ」
「えへへっ」
唯の頭を撫でてやると、まるでとろけたチョコレートの様に顔を綻ばせた。
「ラビィ! 大丈夫か?」
「大丈夫よ。これくらい平気。それよりリョータ、次の街ではパチパチをたっぷり奢りなさいよね」
「はいはい。分かったよ」
いつもながら生意気な事を言うラビィだが、実際は相当怖かったんだと思う。なにせ両足がカクカクと震えているから。
本当ならその事を笑いながら指摘してやりたいところだけど、今回はラビィのおかげで助かったわけだから、そんな野暮はしないでおこう。
「ラビエールさん、大丈夫ですか?」
「はい。私は平気です」
「良かった。それにしても凄い魔法でしたね」
「ええ。私が出来る回復魔法で最大のものを使いましたから」
「セイクリッド・ターンヒーリング――でしたっけ? どんな回復魔法なんですか?」
「簡単に言えば制限時間三分の間、十五秒間隔でずっと最大回復が行われる魔法なんです」
「それはまた凄い魔法ですね……」
「ええ。ですから私でも使えるのは一日に一回が限度なんです」
「そうなんですね。それじゃあ、しばらく休んで下さい」
「ありがとうございます。それよりもリョータさん、どうしてあのアンデッドが回復魔法が弱点だと分かったんですか?」
「そうそう。それは私も気になってた」
「そうね。エルが休んでる間にその事を説明しなさいよ」
「分かったよ。切っ掛けはちょっとした事だったんだ――」
俺はラビエールさんが体力を回復するまでの間、あのアンデッドが回復魔法が弱点かもしれないと思った理由や、その考えに至った切っ掛けなどを話して聞かせた。
「なるほど。私が回復魔法を使っている間にアンデッドの動きが鈍ってたんですね」
「ええ。これは推測ですが、ラビエールさんの放つ回復魔力が強いから、その影響でアンデッドの動きが鈍ってたんでしょうね。だからそれを見て、もしかしたら回復魔法に弱いんじゃないか――と思ったんですよ」
「はあ~、なるほどお。お兄ちゃん凄いよ!」
俺の気付きを絶賛してくれる唯だが、どうにもそれが気恥ずかしい。
「まあ、私の従者ならそれくらいは気付いてもらわないとね」
「ぐっ……」
相変わらず偉そうな事この上ない態度と言動のラビィ。本当なら鋭い一撃と共に
「さてと。ラビエールさん、体力の方はもう大丈夫ですか?」
「はい。ご心配をおかけしました」
「良かった。それじゃあ先へ進みましょうか」
「はい!」
こうして俺達は絶体絶命のピンチを何とか乗り切り、アンデッドの居た先にある上層への階段へと向かい始めた。
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