INSTANT WORLD

玖柳龍華

Prologue

【00】二度目の世界

戦争。大気汚染。環境問題。海面上昇。エトセトラ。

長年に渡って解決を求められていた事案は一切の回復の兆しを見せず、とうとう滅びの一途を辿るしか道がないという結果が導き出された。


環境問題は、様々な案が試行されたもののどれも芳しい効果は得られず、導き出された結果は海面上昇による陸地の減少が迫っているということのみだった。海抜の低い陸地から徐々に沈み、行く場所のなくなったその国の人間は住む場所を求めて別の国へと移住した。


人口は変わらずして陸地だけ狭まっていく。住む場所を失った人間は隣の国に攻め込んだ。そういった現象が世界中で多発し、あっという間に戦争へと規模を膨らませた。

戦争をしているさなかでも海面上昇は進み、いつしか滅びてしまうのだうという予感が世界中を覆い、そして見境なく各国の持てるだけの軍事力を持ち出した。


科学の放射能。魔術の毒ガス。

大気汚染も一気に進み、人口は一気に減少。


人類は争うことをやめた。

生き残りたい願望はあっても、滅びたい意思はない。ようやく残った人類同士が手を組んだ。

争うことで生き残るための方法を見つけるのではなく、最悪の未来を回避するための手段を見つけることを選んだ。自分たちの代で人類を終わらせる訳にはいかない。


人類は残ったわずかな陸地を【ドーム】で覆い、生存を望んだ。

万が一のことを考え、当時の技術や歴史などを1つの【データ】とし、後の人類に託した。



――後の人類は、その結果を導き出すまでの人類のことを【先代人類】と呼んでいる。

そして。

現代人類は先代と似たように領土を確立しそれを争うことで奪取していたが、ある程度経つと安定した。


権力のある人間が末端を支配する。

それはいつの時代でも変わらない不動の事実だった。


ここ――【火宮】の一族が支配をしているこの領土もそれは適応されている。

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