第64話 霊園見学<5月5日>

そろそろ、お墓について考える時期に来ている。


宗教にもよるが、先祖代々の墓に入れるのは長男の家系。

次男の我が家は新しい墓を用意する必要が有る。


しかし、昨今、遠方の先祖伝来の墓を移そうとすると大変な労力が要るそうだ。

檀那寺もなかなか、気持ち良く手放してはくれないらしい。

地方出身者だと何年もお参りに行けないなんてことになる。

昔のように、生まれた土地で大きくなり死んでいく、ことは無理。

必然、お墓は遠くなる。


しかも、殆どお寺に馴染みのない、無宗教の我が家。

子孫代々受け継ぐお墓は要らない。

海洋散骨でも宇宙葬でも構わないと思っているが、手間暇がかかりそう。

とりあえず近場の霊園に収めるのが早そうではある。

それも、いつまでも子供に手間をかけさせない様式がいい。

樹木葬や合祀などを検討してみる。


そして思ったことは、都内では霊園もワンルーム状態だということ。

墓石と墓石の間に隙間というものがない。

まるで長屋のようにくっついている。

いや、墓石は立派な今風のものばかりだから、

ワンルームマンション状態。

土地が高いのだから仕方がないとも言えるが。


どちらかといえば緑の中で静かに眠りたいと思う。

そうすると少し郊外に出なければならない。

しかし、よく考えてみると墓参りに来る人には不便。

霊園に永代供養をお願いしようと思っている私は、

子供の墓参りを期待していない。

それなら、多少の不便は関係ないか、とも思う。


お墓の選定には、まだまだ悩みそうだ。



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