プロローグ


「ちょ、ちょっと! パトカーばっかじゃん! なんなのよこれ!?」


「ちょっと…アレ本物? 撮影用の人形じゃないの?」


「うわ、何アレ…。超グロいんだけど…」


「バカ…! 聞こえるぞ」


「見て、あの人…。母親かな…。さっきから口を開いたまま動かないよ…。大丈夫なの、アレ…」


「かわいそう…」


「なんかあったの?」


「飛び下り自殺だってよ…」


「嘘! マジで!? おい、誰だよ! どこのクラスの奴だよ!?」


「ひどい…」


「見ちゃダメだ…」


「離れて! ほらぁ、離れなさい! 携帯電話での撮影はやめなさい!

… おい、そこのお前! さっさと規制ロープを張れ! 現場に民間人を近づけさせるな!」


「それよりビニールシート持ってこい! いつまで死体を人目に晒しとく気だ!」


「おい! 鑑識はまだか?…ああ、もう!

現場に近づかないで下さい!」


「ちょっと! 何すんのよ! 撮ってんだから! 見えないでしょ!」


「痛てっ! おい、押してんじゃねーよ!!」


「アンタが押したんだろうが!」


「ねぇ行こ! もう行こ! 気味悪いよ…」


「アタシ…すっごい気分悪くなってきた…」


「ママー、なんでいっぱい人、集まってるの? もっと前! 前にいきたい!」


「見ちゃダメ! あっちに行こうね…」


「あんなに若いのに飛び降り自殺か…」


「ってかさぁ、やっぱ自縛霊っつーの? 死んだヤツに引きずられてんじゃねぇ? あのガッコってさ…前にも人が死んでんだろ?」


「やめてよ…。アタシんち、こっから近いんだから」


「あそこさ、金持ちとか多い私立校じゃん? 芸能人とかも通ってんでしょ? 本当に自殺なのかよ?」


「いじめとかさ…」


「まさか…」


「学校だしさ、色々あるんじゃないの…」


「そういや、前にあの学校でさ…」


「ただの自殺かな…」


「変な噂もあるしさ…」


「言えてる…。ああいう綺麗で華やかな学校に限って案外さぁ…」


「なんでも、七不思議っての? それの元になったいわくつきの殺人事件が昔あったっていうぜ…」


「ねえ奥さん、聞きました? あの学校なんですってよ…」


「ええ、また聖真学園ですってねぇ…。

 怖いわ…」


「おい…本当の話なのか? それは…」


「はい…。何人も目撃者がいたようです。余計な噂が立つのは、もう避けられません…」


「ありえない…!そんな馬鹿な話があってたまるか…!」


「しかし、事実です…」


「第一報はどんな通報が来たんだ?」



「そ、それが、その…。屋上から人が飛び降りたと。大声で狂ったように女が笑っている、と…」

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