ノック
カチカチとんとん
カチカチとんとん
一人ぼっちで諦めて
放り投げて
投げ出して
暗い部屋に膝を抱えた
カチカチとんとん
カチカチとんとん
扉の向こうから声がする
「恐れ入ります、すみません」
私は言葉を返さない
「失礼しました、また来ます」
カギは掛かっていないのに
扉を開けて入っては来ない
カチカチとんとん
カチカチとんとん
時計の針がまた廻る
私だけを置き去りにして
膝を抱えて
顔を埋めて
カチカチとんとん
カチカチとんとん
「また来ました、こんにちは」
私は無視を決めこんだ
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