5.晴天の…… 『少女が挑む、戦いの最後』

「最小限の仙気で、基礎的な攻撃力と防御力を上昇させる技だ。去年、森野との戦いでも使ったんだが……」

クルスの言葉に、エリスが気付く。

「解りました! 録画で見たのでした!」

その言葉に、クルスはやっと納得したと呟く。

「そうか、記録で見てたのか。三日前突然現れた時にも、『私の知るかぎりじゃあ、クルス先輩の術しか思いつかなかった』とか言ってたんだ」

「でも、実際イースフォウさんの戦い方は防御が主体だったから、攻防一体のLittle Bladerは凄く合ってたみたい。私のSound of wheelも覚えられたし……。発想も考え方も、凄く的を得ていたと思う」

エミリアがそのように見解を示した。クルスはO♯『中距離戦闘型』の仙気を操るが、どちらかとLittle BladerはA♯『近接格闘型』の術である。また、Sound of wheelとは障壁術でバリア自体を回転させて少ない力で攻撃を防ぐ術だが、A♭『近接支援型』のため、能力は落ちるがイースフォウが使えないことも無い。

どちらとも低燃費の技の為、術者のタイプが上手く一致すれば、両方の術を同時に展開することも出来るのである。

森野は、「ふむ」と呟く。

「Little Bladerを使い続けていたとしたら、イースちゃんはまだ仙気にかなりの余裕があるはず。逆にスカイラインはヴァルリッツァーの最終奥義まで使ってしまった。……本来ならばトドメをさせる技だったけど、イースちゃんが障壁術を使ってくるとは思っていなかったでしょうね。それすらも外れてしまった」

その分析に、エリスは付け加える。

「先ほどの障壁術が高速回転をしていたのなら、きっとそれは水面木の葉の構えを応用すれば術を逸らせることが出来たはずです。中途半端とは言え技術を習得していたから、先ほどの巨大な攻撃にイースさんは耐えきれたんですね。無駄なく、仙気を運用できています」

二人のその解説に、ハノンが興奮気味に尋ねる。

「つまり、勝てるんじゃん!?」

しかし、森野は冷静に分析する。

「有利だわ。だけど、これまでに少なくとも二回、イースちゃんは有効打を貰ってしまっている」

「あ……」

初めの段階でのカウンターと、逆流の型で一撃貰った分のことである。

カウンターのほうは完全な失敗ではなかった。しかし、イースフォウはクリーンヒット、スカイラインはそこまでのダメージを与えられてない様子である。

行動不能では無く制限時間を迎えてしまえば、あとは両者の戦いぶりで勝敗は評価される。どのように考えてもやはり、判定としてはスカイラインにポイントが入るだろう。

「このまま戦えば、判定負けしてしまう可能性が高いと、そういうことですね」

エリスの見解に、森野も頷いた。

「ねえ、クルス君。あなた、あの子に何か他の術を教えた?」

森野の問いかけに、クルスは首を横に振る。

「僕はO♯の人間だからさ、彼女に教えられる術はそんなに無かったんだよ。一応、トドメの術で砲撃術なんかも教えようかとは思ったんだけどさ、出力下がるだろうし、何よりも時間が無かった」

その説明に、エミリアも続く。

「一応、私たちの合体技があるでしょ? それの簡易版なら出来るかなって試させたんだけど……」

「完全に術を安定させるのは難しかったな。訓練しだいでは出来ると思うけど、この短期間でいくら覚えても、役に立つ術にはならなかっただろうね」

森野は、複雑な表情で呟いた。

「打つ手は・・・・・・、無いのか」




イースフォウは斬り付ける。ただそれだけを何度繰り返しただろうか。そのたびに彼女の汗と夕日色の髪が、日の光に反射して輝いていた。

目の前のスカイラインは、光りのきらめきの如く、彼女の攻撃では捉え切れない。

だが、スカイラインの目は、確かな焦りの色を滲ませている。単調ではあるが、少女のできる限りの無駄を省いた攻撃なのだ。イースフォウとしても少しくらいは焦ってくれないと困る。

「はあぁっ!」

攻撃。もはやそれしかない。

彼女が得意だった防御は、すでにその役目を終えているのである。今更防戦に徹したところで、何になろうと言うのか。

そう、ただこのまま斬りつければ良い。スカイラインも斬りつけてくるが、ならばそれよりも速く、多く、イースフォウは斬り付けるしかない。

「っく! 調子に乗るなあぁっ!」

スカイラインが吠える。しかしそれは負け犬のそれではない。まだ戦う力がある、猛獣の咆哮であった。

だが、飲み込まれている事は許されない。ここでそれに怯えては、少女はたった一つ作り上げた勝機をなくすことになる。

「――フォウ! 大丈夫よ、こちらの力はまだ余裕がある!――」

ヒールの声が聞こえる。しかし、イースフォウは返事もせずに、攻撃を繰り返す。右から振り込んだ伝機を弾かれる。反動で手首がちぎれそうになるが、それを堪えてもう一度。今は自分の出せる手を、全部出すのだ。それには、止まってる時間など無い。

「――おうおう! やっちまえフォウ! たまには何かを手に入れてみろ!――」

クロの声が聞こえた。言われるまでもない。今少女は、全く曇り無い心で、自分の到達すべき場所へ駆けあがっていた。

敵は強い。この赤毛の少女は、イースフォウが一番認める強者だった。これまで彼女が生きてきた中で、一番憧れた、手に届かなかった存在。

霞んで見えなかった、遠くの存在だ。

だが、それが今、イースフォウの手に届く場所にあった。

何のことは無い、霞んで見えなかっただけで、ほんの一歩でも踏み出せば、手に届くには無理のない場所だったのだ。

「曇天の……っ! 曇天の分際で!」

『曇天』、忌々しいの二つ名を、スカイラインが憎たらしげに、はき捨てるように呼んだ。

その言葉に、イースフォウは笑いながら答える。

「ええ、曇っていたわ。私は今まで、灰色の世界でただ立っていた!」

その言葉と同時に、曇天と呼ばれた彼女は、迷いのない伝機を振り下ろす。

「っく!」

スカイラインも、それはしっかりと受け止める。

「だけどね、今はどうしてか、全く曇っていない!」

もう迷わない。もう躊躇わない。何度受け止められても、その伝機を振るい続ける。

雲ひとつない晴天のように、本当に全てが迷いなく見えるように……。

自分の進むべき道を、彼女は間違いなく見据えていた。

「……なるほど、もはやあなたは曇天のヴェルリッツァーではないと言うのね!」

不意に、スカイラインの目の輝きが変わった。そして、その手に持つ伝機を今まで以上の力で振るい、イースフォウを弾き飛ばした。

「……っく!」

彼女は数メートル飛ばされる。体勢も崩れるが、なんとか身をひねり片手を付きながら着地をした。ジンジンと痺れる四肢に喝を入れ、伝機を構える。

そして、スカイラインに向かって叫んだ。

「私は! あなたに勝ちたい! 勝ってみたい!」

「うぬぼれるな! いくら雲が晴れようが、迅雷のヴァルリッツァーを、あなた程度の力で倒せると思うな!」

そう、叫び返し、スカイラインはイースフォウに跳びかかる。

今まで以上に恐ろしいスピードであった。イースフォウは一瞬見失う。

だが、迷わない。彼女は自分の信じた道を切り開く。

「はぁっ!」

イースフォウは自分の背後に向かって伝機を振るう。

鈍い金属音がした。

「……っく!」

捕えていた。イースフォウの伝機は、スカイラインの伝機と混じり合って火花を散らせていた。

ギリギリと、伝機が嫌な音を立てる。それだけ、二人のぶつかり合う力が激しいというのか。

鍔迫り合いをしながら、少女は再度つぶやいた。

「私は……あなたに勝ちたい」

「……このっ!」

やっと、晴渡ったのだ。

意味を見つけられそうなのだ。

だから、今は少し贅沢な目標を持ちたかったのだ。

だから、イースフォウ・ヴァルリッツァーはその伝機を振るうことにしたのだった。

「ヒール! あと何分ある!?」

「――あと……一分二十三秒!!ーー」

ヒールの答えはスカイラインにも届く。

「……っく!!」

一瞬で、イースフォウから距離をとる。

「ハァ……ハァ……ハァ……」

スカイラインの息は荒い。それもそのはず。この局面でスカイラインは、『迅雷』と『石の剣』の術を高速で交互に使っていた。瞬間的に術式を編み直しながら戦わなくてはならなく、その集中力は常人離れしてはいた。

確かにこの方法なら仙気の消費を抑えることも出来た。だが二つの術を瞬間的に交互に使っていると言うことは、その精神的な疲労はすさまじい。

「………ふぅ」

それに比べ、イースフォウには若干の余裕があった。ずっと、自分に無理の無い戦い方でここまできたのだ。さらに、全て思った通りに戦闘を続けられた。精神的にはスカイラインのそれとは比べようも無いくらい楽であった。

だが、それでも、スカイラインは、まだ諦めていない。彼女とて、初代の再来と言われた才女である。こんなところで諦めがつくほど、生ぬるい環境では過ごしてこなかった。

息を整えつつ、にやりと笑う。

「……ふ、ふふふ」

イースフォウは、不意に笑い出したスカイラインの様子を黙って伺う。

「ふふふ、でも解ったわ。貴方はやっぱり私には勝てない」

「どういうこと?」

イースフォウの問いかけに、スカイラインはやはり笑う。

「だって、あなたは私にクリティカルを与えることが出来ない。そういう術を知らない。だから勝てない」

その答えに、イースフォウは苦笑する。

まったくどこまで行っても、スカイラインの才能はすさまじい。この最悪の状況下でも、冷静にイースフォウの手を読んでくるのだ。純粋に恐ろしいと、イースフォウは感じた。

スカイラインの言うとおり、イースフォウに必殺の技は無い。逆流の型など、その術式は知らないし、クルスにもエミリアからも、そういう技を教わる時間が無かった。

(……そう、このままじゃ確実に負ける)

こればかりは、イースフォウも戦う前から解っていた。動きが鈍ったところで通常攻撃が上手く入れば良いなぁなどと考えていたのだが……、疲労困憊してもスカイラインは強かった。今のままでは打つ手がない。

それでもイースフォウも諦めない。何でも良い、相手に攻撃を与える必要がある。残り少ない時間で、何か一手無いものかと考えを巡らせる。

「……イースフォウ、このまま黙っていても、私の勝ちね」

息を整えて、スカイラインが呟く。しかし、その言葉とは裏腹に、彼女は術式を編む。

その最後の仙気を込めた術式は、スカイラインの残りの全てを伝機に最後の輝きを与えた。

「……逆流の型」

まだそんな力が残っていたのか。イースフォウとしては更に境地に立たされてしまった。

「そうよ、イースフォウ。ヴァルリッツァーの奥義、『逆流の型』。貴方はやはり、この術で叩きのめすわ」

「……まずいな」

イースフォウの額に汗が滴り落ちる。先ほどは防ぎきった術であった。しかし、先ほどのそれは不意を付いての成功例だ。障壁術も考慮して放たれるだろうし、スカイラインも最後の一手なのだろう、そうそう簡単に外すこともない。次は流石にどうにかするのは難しい。

……いや、難しいのではない。防ぐのは不可能だ。

(打たせちゃいけない。でも、どうすれば……)

打たせない様にと間合いを取って、逃げ続けるのは可能だ。しかしそうなると、さらに戦闘への評価は下がるだろう。イースフォウも、自分が評価的にはスカイラインよりも低いことは自覚している。

となると、判定で負ける。

(……離れたところから、どうにかしてスカイラインに攻撃するには……)

しかし、イースフォウは中距離の術を知らない。……いや、実際に授業では基礎的な術は学んでいた。だが、実用的に扱うほどには、自主的に学習はしていない。……今更ながら、もっと普段の授業をしっかりと受けておけばよかった。そんな風に彼女は考えても……後の祭りだった。

(よく考えるんだ。私は確かに仙気を長距離放出するような技が使えない。でも、離れた敵を倒す方法は……)

しかし、いくら考えても方法が思いつかない。比較的真面目に過ごしたこの数週間を思い出しても、それでも思いつかない。

(……駄目だ、思いつかない。どう動けばいいのか解らない)

「――そんなに悩むんだったら、捨てちまえよ、伝機なんて――」

イースフォウにの耳に、不意にそんな言葉が流れてきた。

「……クロ」

伝機の柄に付いている黒い石が、そう囁きかけたのだ。

「――伝機なんて持っているから、お前は迷ってばかりなんだよ、気付かないのか?――」

その言葉に、イースフォウはフッと笑う。

「……そうね、私はまた迷ってしまっている」

久々に、自分の心に迷いが生じているのを感じた。それは一週間前の自分の迷いとは質が違えど……でも結果、次に動く方法を見つけ裸らない点に関しては全く同一なものだった。

だが、今となってはそれすらイースフォウのきっかけに過ぎない。

ずっと、ずっと悩んでいた。雲も晴れたというのに、彼女はまだ迷っている。目の前には青空、雲ひとつ無い青空。それを目の前にしても、やっぱり彼女は迷ってしまうのだ。

しかし、その先がある。迷い迷った挙句、迷わず進んだスカイラインとはまた違った道が。、イースフォウの眼前には広がっているのだ。

迷わなければ進むことが出来ない道がそこにはあった。

(そうだ、この際仙機術だけが私じゃないんだ。これが足かせになるのなら、いっそのこと……)

だから、この際、重いものは全部捨ててみようと思った。

彼女にとって仙機術は、進むべき力であると同時に、進めなくなる足かせでもあった。ヴァルリッツァーを一時的に放り投げたとはいえ、イースフォウにとってはまだまだ身体の重りは取れ切れていないように感じる。

もっともっと高く高く、先に進めるように。今はそれを捨てるのも一つの手かもしれないと、そんなふうに思った。

(……これが正解かなんて、あとで考えるわ)

やってみれば良い。思いついたものを、やってみれば良い。そうすれば、良くも悪くも、状況は変わる。

どうせ少ない残り時間なのだ。何をやったって、それは彼女の自由な時間に他ならない。

「だから、今は貴方たちを捨てた方が良いみたい」

イースフォウは伝機を構える。

(そういえば、数週間前、スカイラインに襲われたときに、『伝機を捨てれば?』とか言われたなぁ)

まさか、言われたとおりのことをするとは思わなかった。

「Please protect me!!石の剣!!」

イースフォウは術を展開する。今度こそそれはヴァルリッツァーの術であった。

「……何をするかと思えば、いまさらヴァルリッツァーの技!? それで何をするつもり!?」

スカイラインが鼻で笑う。しかし、イースフォウも不適に笑う。

そして叫ぶ。

「全てを賭けて、今ここに貴方を倒すのよ!!」

そう言ってイースフォウはスカイラインに飛び掛る。

「うおおおおおおおおおおおおお!!」

「……来るの!?」

真っ直ぐに飛び込んでくるイースフォウに、スカイラインは一瞬たじろぐ。

だが、すぐに冷静さを取り戻し、彼女は伝機を構えた。

(何かと思えば特攻? ……馬鹿な、接近戦ではこの逆流の型は無敵。石の型では、どうあがいても自殺行為よ)

だからこそ、スカイラインはどっしりと構えていればよかった。相手の距離が0になったとき、この伝機を振ればいいだけ。石の剣では、絶対に防げない。しかし、石の剣を展開してたら、先ほどのような障壁を展開できない。

そこまで考えて、スカイラインは違和感に気付いた。

(……なぜ、石の剣を使った!?)

それでは、障壁を展開して防御できないではないか。

「っく!!」

スカイラインは間合いを取ろうとする。何か致命的な危機感を感じたのだ。このままではいけない。この場を離れなければ、……負けてしまう。

だが、イースフォウは吼える。

「遅いわ!!」

『逆流の型』を何度も見て、イースフォウもいくつか気付いた事があった。あの技や『水面木の葉の型』は、細かな事は置いておくとして、所詮は『石の型』を発展させた技のバリエーションなのではないかと。『石の型』に規格外の衝撃を与えれば、『逆流の型』の最後の爆発攻撃の片りんくらいなら再現できるのではないかと。

彼女はもうその思いつきに掛けるしかなかった。

「はああああああああ!」

イースフォウが大きく伝機を振りかぶる。

しかし、その距離は……まだ遠い。

「っ!! まさか!!」

「いけぇ!! 石の剣!!」

イースフォウはその伝機を、スカイラインに向かって、投げ飛ばした。

その投擲、一瞬でスカイラインに襲い掛かる。

「ぐっ!!」

慌てて受け止めるスカイライン。ギュルルルルルルッルっと鈍い音が響き渡る。その予想外の攻撃とその威力に……。

「ぁぁああああ!!」

ずるりと、スカイラインの手からも伝機が弾けとんだ。

「くぅ!! しまった!!」

スカイラインは焦る。そして、一瞬だけ、イースフォウから視線をはずしてしまった。

しかし、それが間違いだった。そして、スカイラインもそのミスに気が付いた。

そして、その視線を元に戻すと……。

「はぁ!!」

「っがっ!」

スカイラインの顎がはじけ飛ぶ。イースフォウの正拳突きが、クリーンヒットしたのだ。

(こ、これは……クルティ!)

スカイラインももちろん知っている。アムテリア学園の授業で習う、旧文明の格闘技の一つ。

しかし、その攻撃だけで終わらない。イースフォウがスカイラインの胸倉をつかんで、投げ飛ばす。

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

今度はドシンッと、地面に叩きつけられるスカイライン。

(ジ、ジトウまで!?)

驚愕するスカイライン。しかし脳が揺さぶられて身体に力が入らない。

「補習授業で学んだ、旧文明の体術よ! 仙機術事態にそこまで効果のある技ではないけどっ!」

だが、伝機を持たないのであれば、仙機術が関係ない状況であれば、その効果は歴然の筈だ。

イースフォウは攻撃を止めない。まずは手をとった。そして、足を絡ませる。

「ちょ!! 曇天、貴方!!」

そこは普段からの鍛え方が違うのであろう。脳を揺さぶられたというのに、スカイラインはすぐに喚き始めた。

「これしか方法が思いつかなかった!! でも、これなら貴方を!!」

そう言いながら、イースフォウは完全に、スカイラインの身体を固めた。

「ふざけないで!! こんなの……こんなの仙機術では、ヴァルリッツァーではない!!」

その言葉に、イースフォウは笑う。

「ええ、そうよ。これが私よ。雲がかっていた世界で迷い、そしてここに至った私の力。私は、ヴァルリッツァーでは無いの!!」

「……っく、卑怯よイースフォウ!! 私は……私はこんな戦いを望んではいない!!」

牙をむき出して怒鳴るスカイラインに、イースフォウは寂しいそうな声で答える。

「スカイライン、私だって初めは望んでいなかったわ。……でも、戦いはそういうものでしょう?」

イースフォウのその言葉が最後だった。

「両者!! そこまで!!」

その言葉と共に、審判の銃型の伝機が、破裂音と共に空に向かって弾を一発弾き飛ばした。

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