第17話 オレンジティー
火曜日になり、わたしは昨日のゴミを出し忘れたことに気づいた。月曜日と、木曜日は燃えるゴミの日だったのだが、出し忘れてしまったものは、仕方がない。今日のプラスチックゴミをまとめて、わたしは定められた場所に置く。
電線にはカラスが止まっていた。わたしたちの住む地域は、カラスや野良猫の対策がされているので、ゴミが動物たちによって、散らかされるという被害をこうむることはほぼない。わたしが住んでいる場所の周辺には、カラスの巣らしきものがなく、どこに住みついているのかが不思議だと思う。
会社につき、タイムカードを押す。
キッチンに向かって、お湯を電気ケトルで沸かして、ティーバッグから今日は紅茶を選ぶ。オレンジの香りがしている。いい香りだ。あまり期待しないで買ったものだったから、嬉しい誤算だった。
午前は暇で、いつもよりのんびりと過ごせた。電話もそれほどかかってこない。
お昼休みのお弁当を食べながら、マイボトルに入っているオレンジティーを飲む。さわやかで、やはり美味しい。これなら、今度は他のシリーズも買ってみようと思った。
午後も、午前のペースを引き継いでいるのかのように、暇だった。
こういうときは、たまにある。そんなときは、卓上カレンダーに予定を書き込んだり、特に用はないけれど、バッグの中をのぞいたりしてしまうのだ。それだけ、時間があるのだ。
やっと午後の仕事も終わりを告げて、わたしは退社するために、タイムカードを押す。
今日は、どこにも行く予定がないから、そのまま部屋に帰ることにする。
帰宅して、なんとなくメールのチェックをしてみたら、翔さんからメールが来ていた。
「こんにちは、翔です。
少し先の話ですが、土曜日は仕事になることが確定しました。
もし、行きたいところがあったら、ごめんね」
「こんばんは、りんです。
今から、土曜日も仕事になることが分かるくらいに、忙しいのですね。
無理をして、体調を崩さないでくださいね」
「ありがとう。
来週なら、たぶん土日が休みだと思います。
また、会いましょう」
「メールをしてくれてありがとうございました。
また、会いたいですね」
仕事が忙しいのに、わたしにメールをしてくれたことを、嬉しく感じた。
これから先のことで、「仕事とわたしどっちが大事なのよ!」というあのドラマの中のようなセリフを言う女にはなりたくないなと思った。
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