12月17日 飛行機の日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。




 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 諸君らは飛行機に乗るだろうか。

 私はというと全然乗らない。仕事で出張続きとはいえ、金のかかる飛行機を許すような会社には務めてはいないからだ。

 つまり、私が飛行機に乗るとするならば、それは観光目的の旅行であるわけなのだが——

 どうやら、一人で乗る機会はしばらくなさそうだ。


 さて、本日2017年12月17日は『飛行機の日』である。


 飛行機の日は1903年のこの日、アメリカ・ノースカロライナ州のキティホークで、ウィルバーとオーヴィルのライト兄弟が動力飛行機の初飛行に成功した事を記念し制定された一日である。この日には4回飛行し、1回目の飛行時間は12秒、4回目は59秒で飛行距離は256mだった。


 飛行機を嫌う人間は多い。

 高所恐怖症。密室恐怖症。理由はいろいろとあるだろうが、やはり一番多い理由は墜落事故の悲惨さを想像してしまっての事だろう。


 時速1000キロにも到達する飛行機で機体トラブルが生じた際、一乗客になす術はない。神に祈るしか術はない。


 一人で乗っていた際、それがどれほど怖い事なのか想像もできない。自分の死が迫っている恐怖。そして、愛する者に二度と会えない恐怖。


 飛行機に乗る際、傍らには君がいてほしい。




 今日は飛行機の日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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