11月12日 洋服記念日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 さて、本日、2017年11月12日は「洋服記念日」である。


 諸君らは毎月被服費にいくら費やしているだろうか。中には何万円も新作の服を大量買いし、結局着ないで古着屋に持ち込んだりはしていないだろうか。

 洋服記念日は、全日本洋服協同組合連合会が1972年に制定した一日である。1872年のこの日、「礼服ニハ洋服ヲ採用ス」という太政官布告が出され、それまでの公家風・武家風の和服礼装が廃止された事が起因している。


 ファッションに気を遣うのは結構であるが、あまりこだわりすぎるのも考え物だ。動きやすく、高価過ぎず、暖かければなんの問題もないのだから。私なんて、休日は大抵部屋で過ごすものだから、冬でも作務衣が役に立っている。


 私はショッピングモールで軽く服屋を覗くと、Tシャツ一枚で何千円も取るのが本当に理解できない人間だ。ユニクロやアマゾンで探せば千円あれば数枚買えてしまう。本当にそれだけの価値をそのシャツは持っているのだろうか。


 高級ブランド、エルメスから発売されたTシャツはなんと一枚850万円の値段がつけられたそうだ。クロコダイルの皮で作られ、なんとなく素材にこだわっているように見受けられるが、世界一高いTシャツはと言うと、なんと普通の綿で出来ている。約3673万円の値段が付けられたそのTシャツには、なんとダイヤモンドが散りばめられているらしい。間違っても洗濯機には入れられないだろう。


 調べれば調べる程、私は高くても一枚千円のTシャツしか着ることはないんだろうなと痛感した一日である。




 今日は洋服記念日。特別な一日である。

 我々は本日を祝福し、過ごさねばならないだろう。

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