11月4日  バラク・オバマが当選した日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 さて、本日、2017年11月4日は「バラク・オバマが当選した日」である。


 諸君らの中にはさすがにオバマ大統領を知る者はいないだろうが、今の大統領が誰なのかと聞くと、意外と答えられない人もいるのではないだろうか。実際、私の友人に訪ねてみた所、大統領って変わったの? と言った反応を見せられたことがある。

 大統領とは世界で一番強い役職ではあるが、一体どういった人物がその席に座るのか、諸君らは少し興味がわかないだろうか。


 オバマ氏は1961年、ハワイのホノルルで生を受けた。父は奨学金を受給していた外国人留学生であり、大学で知り合った女性と結婚した。しかし、それから3年後に両親は離婚、オバマ氏は母方に引き取られる。

 その後にインドネシアに移住するも、 軍事クーデターが勃発し今度はジャカルタに住まいを変える。オバマ氏は6歳から10歳までジャカルタの公立のメンテン第1小学校に通い、1970年には、母と再婚相手の間に異父妹が生まれる。


 1971年にはホノルルへ戻り、地元の有名私立小中高一貫の高校へと通う。在学中はバスケットボール部に所属し、高校時代に、飲酒、喫煙、大麻やコカインを使用したと自伝で告白している。事実である。


 1979年に西海岸で最も古いリベラルアーツカレッジの一つであるオクシデンタル大学に入学し、2年後、ニューヨーク州のコロンビア大学に編入し、政治学、とくに国際関係論を専攻する。


 大学卒業後はニューヨークで出版社やNPOに務め、シカゴに転居してからは教会が主導する地域振興事業の管理者に就く。その後は弁護士として法律事務所に勤務し、人権派弁護士として、頭角を現し、貧困層救済の草の根社会活動を通して、1996年、イリノイ州議会上院議員の補欠選挙に当選を果たした。


 そして2008年、米大統領選で民主党から出馬し当選する事となる。


 諸君らは以上の彼の人生を、どの様に感じただろうか。

 波乱万丈であり、だが、少し存在が近ずいたような気がしないだろうか。


 どれだけ偉い人間も、有名な人間も、誰だって特別という事は有り得ない。

 腹が立つ上司だって学校ではいじめられていたかもしれないし、ヤクザだってかくれんぼをして遊んでいた時代がある。


 天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず

 高名な福沢諭吉の一文であるが、いや確かに。己が人生の舵を取るのは、やはり自分自身なのである。




 今日はバラク・オバマが当選した日。特別な一日である。

 我々は本日を祝福し、過ごさねばならないだろう。

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