10月9日  道具の日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 本日2017年10月9日は「道具の日」である。


 道具の日は、東京・浅草の調理具の専門店街、かっぱ橋道具街が109《どうぐ》の語呂合わせの元制定した一日である。

 かっぱ橋は職人の街として有名である。私も訪れたことがあるのだが、飲食関係の機材であれば大抵何でも揃ってしまう程品揃えが良い。


 この世には数えきれないほどの職業があるが、どうせなら道具にもこだわりたいところである。さすれば仕事にも精が出ると言う者。弘法筆を選ばず、とは言うが、いい仕事はいい道具、ちゃんと手入れされた道具より生まれる。


 ならば、もしそうならば、大金をかけてカスタマイズされつくしたノートパソコンで小説を書いたなら歴代最高の傑作が生まれるのではないか。なんて、そんな事は有り得ないとは思いつつも、せめてキーボードの手入れ位はしてやろうと、そう思った。


 人間は道具を使う。道具を使った方が便利だから。または道具がなければ出来ないから。しかし、時に使う人の技量がその仕事に影響してくることは上に挙げたとおりである。

 案外、使われているのは道具ではなく、人間の方なのかもしれない。




 今日は道具の日。特別な一日である。

 我々は本日を祝福し、過ごさねばならないだろう。

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