2月27日 冬の恋人の日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 さて、一話目から継続し読んでくれている諸君らに、今日はまずは謝罪せねばならない。なぜならば、それは以前、2月14日のバレンタインの更新時に、多くの読者を不快にさせた為である。例え恋人がいなかろうが、街中のカップルに殺意が湧こうがなんだろうが、決して私事で神聖な記念日までもを冒涜してはならない。私は今日この記念日に心を入れ替え、2度と同じ過ちを犯さぬように注意しながら、これからは世のカップル達を祝福しようと思う。本日、2017年2月27日は『冬の恋人の日』である。


 冬の恋人の日は、先ほども挙げた2月14日のバレンタインデーと、3月14日に訪れるホワイトデーの中間に位置し、27《きづな》の語呂合わせの元制定された恋人との絆を深める一日である。

 12月のクリスマスから数えると恋人の為の記念日が多すぎる様な気もするが、やはり人肌恋しい季節である。そうなったのもわからんでもない。聞くところによると、やはり風俗の顧客もこの時期が一番増えるの――

 おっと、私は心を入れ替えたのであった。


 冬の恋人の日なんて、絶好のデート日和ではないか。街には愛が溢れているに違いない。きっと多くの恋人達が愛を語らっている事だろう。バレンタインデーとホワイトデーの中間と言う、とてもロマンチックな位置取りではあるが、実際この日を考えたのは結婚カウンセラーであり、つまりは商売の――

 おっと、私は心を入れ替えたのであった。


 話を変えよう。諸君らはバレンタインデーにチョコレートを貰っただろうか。2月も気付けば終わろうとしている。となれば、チョコレートを貰った諸君らにはそれを返す義務が発生しているわけだが、何を贈るにしても金がかかるものだ。しかし、今からならまだ間に合う。今日と言う日に逆に恋人との絆を粉々に打ち砕いてしまえば、来たる3月14日には忌まわしい義務から解放されているはずだ。

 もう一度言う。今ならまだ間に合う。悪い事は言わない。もうあまり時間は残っていない。行動を起こすなら今の内だ。ん? 誰だ貴様は? 勝手に私の部屋に入ってくるな! おい! やめろ!! 離せ!! 私は自分の書きたい事を書くんだ!! おいやめろ!! なんだ冬の恋人の日って!! 恋人がいるのがそんなに偉いのか!? あ!? どいつもこいつも浮かれやがって! 畜生がああああああああ!!











 私は世の恋人達を心の底から祝福しています。

 今日は大切なパートナーを想い、幸せな時間を過ごせるよう願っています。




 今日は冬の恋人の日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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