2月6日  世界女性器切除根絶の日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 タイトルに惹かれページを開いた男性諸君。残念ながら今回は諸君らの期待に応えられそうにない。この問題は決して笑い事でも、性欲を満たすようなものでもない。国連が定めた国際デーの一つであり、世界で注目されている深刻な問題なのだ。本日、2017年2月6日は『世界女性器切除根絶の日』である。


 世界女性器切除根絶の日はナイジェリアの大統領夫人、ステラ・オバサンジョの提案により制定された啓発デーだ。日本ではやや取り扱いにくく、なかなか報道される事がない為、ピンと来ない者が多いだろう。


 そもそも、女性器切除とは一体何なのか。一言で言えば悪習である。

 アフリカを始めとする民族間を中心に、女性の性欲抑制、貞操保護の名目でクリトリス、小陰唇、大陰唇を切除してしまう成人儀礼である。

 エジプトで行った調査では、9歳から12歳。初潮を迎える前の女児に多く施されている。それ事態も大きな問題だが、施術するのは不衛生な環境であり、豊富な知識を持たない人間により行われる。中にはこれが原因で命を落とすものもいるのだ。


 この風習のない日本に住む我々には考えられない話だが、全て事実であり、今現在も行われているのである。本人の意思に関係なく行われるため、世界では虐待行為だと非難されてはいるが、当の現地の人々から言わせれば、古くから続く伝統であり、行為を支持する声も少なくない。


 マサイ族出身で、13歳の時に女性器を切断したカケンヤ・ンタイヤ氏と言う女性がいる。最高峰のカンファレンス。TEDの舞台で彼女は語った。

 教育を受ける為、やむなく儀式に参加したと。その後にアメリカに渡り、女性器の切除はケニアの法律に反していると知ってしまったと。


 アフリカだろうが日本だろうが、この世に生まれ落ちたからには意思の自由が許されるべきである。どこの誰が始めた風習かは知らないが、多くの女性が被害にあっている以上、我々はこの問題を深く知る必要がある。


 一方日本では、男性が大金を払って性器の皮を切る、包茎手術の宣伝が流されている。もしかしたらこの風習は、女性器を切除する国から見たら意味不明な施術なのかもしれない。




 今日は世界女性器切除根絶の日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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