115 帽子、軍人、花
軍人として5年間、名誉と国益のために働き、私は街に帰ってきた。遠目に見える景色が少しずつ、記憶にあるものと一致していくたびに足が早まった。
街は少し様変わりしていた。大通りにある店はほとんど入れ替わり、改修されて一目でそれとわからないものもあった。しかし大部分は、古びて見えた。
家の近くの顔見知りの花屋は残っていた。私の服装を見ると、その帽子はやめたほうがいいと言った。私は占領地で買った帽子をかぶっていた。これはいたずらに人を刺激することになると。
犬の散歩をしている男がいた。幼い頃の、名前も覚えていない友人が飼っていたものと似た犬だった。私は声をかけようとしてやめ、通り過ぎた。振り向くと、彼も立ち止まって私を見ていた。それっきりでまた歩き出し、私は家に着いた。
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