第374話なほめでたきこと(3)

掃部司の人たちが茣蓙を片付けるのを待ちきれないのでしょうか、主殿司の役人が全員手に箒を持って庭の敷砂をならします。

承香殿の前付近では、高い音色で笛を吹き、陪従たちが楽しんでいる様子が伝わってくると、早く姿を見たくなり待っています。

すると有度浜をうたいながら、呉竹で囲った籬垣付近に歩み出て、和琴を弾きます。

これには、なんとも言えず、どきどきしてしまいます。

最初に舞衣を披露する二人の舞人が袖をあわせて登場し、帝の正面に立ちました。

続いて他の舞人が登場する際には、拍子に合わせて足を踏み、半臂の緒を直す、また冠を正し、袍の襟元を直したりして、手を休めません。

「あやもなきこま山」などと謠いながら、舞い踊る姿は、とにかく本当に素晴らしいものがあります。


清少納言先生:はい、そこまで。

舞夢    :有度浜とは?

清少納言先生:東遊の一種で、駿河舞の一節です。「や 有度浜に 駿河なる有度浜に 打ち寄する波は 七くさの妹 ことこそよし ことこそよし」でした。

舞夢    :それにしても、なかなか、臨場感のある書き方ですね。

清少納言先生:はい、とても楽しみな行事なので。


なほめでたきこと(4)に続く。

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