第335話八幡の行幸のかへらせ給ふに(3)

清少納言先生:続きをお願いします。

舞夢    :了解しました。


さて、一条の帝の御輿が御桟敷の前をお通りになるのですが、それを拝見なされるご生母の女院のお気持ちを察し申し上げると、さぞかしその御胸中はお幸せのあまり飛び立ってしまうほどと思われるのです。

この時の行幸の話は、私も感動してずっと泣き続けてしまったので、他人に笑われてしまうほどでした。

普通の身分の人であっても、子供が立派であることは、本当に素晴らしいことであるのに、このように帝のご生母となれば、そのお気持ちを察し申し上げるのも、恐れ多いことでもあるのです。


清少納言先生:はい、お疲れ様でした。

舞夢    :自然と涙が出てくるということなのですね。

清少納言先生:他人の不幸へのもらい泣きは難しいことがあるけれど、この時は自然でした。


確かに涙といっても、いろんな涙がある。

悔し涙、怖れる涙、もらい泣き、痛みで泣く。

やはり感動する涙、ほっとした涙、うれし涙のほうが上になると思う。

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